不倫の慰謝料を親に請求されたらどうしたらいい？

公開日：2019.11.20 最終更新日：2024.02.04 不倫の慰謝料

　この記事のポイント

　✔︎　不倫（不貞行為）をした人の親に法的責任はない（慰謝料を請求することはできない）

　✔︎　不倫の事実を第三者に暴露する行為はプライバシー侵害となり得る

既婚者と不倫をしてしまった場合、特に、未成年者が既婚者と不倫をしてしまった場合、その既婚者の妻や夫から、未成年者の親の責任を問う声があがることがあります。

また、未成年者に限らず、実際問題として支払い能力がない人に対して既婚者の妻や夫が慰謝料を請求する時に、何とか少しでも多い金額を支払わせようと考えることは想像に難くありません。

この記事では、親に不倫を理由とする慰謝料請求がなされた場合そもそも親にその慰謝料を支払う責任があるのか、実際に内容証明郵便などが届いたときにどのように対処することが適切であるのかについて説明していきたいと思います。

慰謝料を相手の親に請求することはできる？

では、そもそも不倫をされた妻(夫)は夫(妻)の不倫相手の親に慰謝料を請求することが法律上可能なのでしょうか。

端的に結論を言えばＮＯです。

不倫（法的には「不貞」）による慰謝料請求は民法709条の不法行為責任が当該不倫をした二人に成立する、ということになります（このことを共同不法行為といいます）。

（参考：『共同不法行為とは？その意味と成立条件』）

そこに親の存在は関係しません。不倫をされた既婚者の相手方がお金のありそうな不倫相手の親に対して慰謝料の請求をしたい気持ちは感情的・道義的には理解できる話ではあるのですが、実際のところ、その請求が可能な法的根拠はない、ということになるのです。

むしろ、このように法的には不貞と全く関係のない第三者に対して、直接的に不貞の事実を暴露し、その責任を追及することはプライバシーの侵害にもなり得る行為です。

もちろん、そもそも既婚者と不貞を働いてしまった側に非があることは大前提ではありますが、例えば「不貞の事実を親に言う。言わないでほしければ●●万円払え。」「インターネット上で不貞の事実を公表し、学校（職場）に居れないようにしてやる。言わないでほしければ●●万円支払え。」といった行為を既婚者の配偶者（浮気された側）が行うのは、行き過ぎた行為とみなされます。

こういった行為については、（実際に立件されるかどうかは別として）刑法上の恐喝罪が成立し得ることは頭に入れておきましょう。

未成年者が不倫をした場合、親の責任は？

上述したように、あくまで法的根拠、という意味であれば親の責任はありません。

もっとも、未成年者が不貞を働いてしまった場合、慰謝料の支払いに関して財政的な問題が生じてしまう可能性は高い、と言わざるを得ません。そういった場合に、親の資金をあてにせざるを得ない場合が出てきますし、慰謝料を請求している側が、親に連帯保証人に入るよう要求する場合もあります。ただ、そのような要求を受けたとしても親が必ず応じなければならないわけではありません。しかし、未成年者が慰謝料を請求されている場合、親の資力を充てにし連帯保証人となることで解決できるのであれば、早期解決の可能性が高くはなります。

それと同時に、連帯保証人として、示談書や合意書に親がサインしてしまった場合については、親にもその未成年者と同様の法的責任が生じることになることに注意が必要です。

親に慰謝料を請求されそうになった場合の対処法

不倫相手の配偶者が親に慰謝料を請求しようとしている場合には、第一段階として、親に法的責任が全く存在しないことを相手方に説明し、いきなり親のところに請求が行かないようにしておくことが賢明といえます。場合によってはプライバシー侵害や、脅迫罪に該当し得ることも説明することが必要でしょう。自分に非があるからといって、相手方が何でもしていいわけではないことをまずは明確にすべきです。

仮に親に請求を既にされてしまった場合にも同様に相手方に注意を促しておくことは必要でしょう。

おわりに

不倫による慰謝料を請求された場合には、自分が今どの段階に居て、どういった結論を導くべきなのかを冷静に判断することが必要です。時間を取るのか、金額を取るのか、親を巻き込むのか、巻き込まないのかといった要素と自分の資金力、相手方からの請求額やその態度などを総合的に判断する必要があります。

その判断は、大人でも難しいことの方が多いため、万一未成年者で慰謝料を請求された場合には、自身で解決することは非常に難しいです。そのため、親には正直に話した上で法律の専門家などに相談をしましょう。

まずはお気軽にご相談ください

タグ : 不倫

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