不倫の示談書による接触禁止を違反したらどうなる?違約金は?

公開日:2019.12.20  不倫の慰謝料

不倫する男女に生じる金銭問題不倫が相手方の配偶者にばれた場合、示談による決着を図るのが一般的です。その際、示談書に相手との接触を禁じる文言が入ることがあります。もし、この接触禁止の取り決めを破った場合、いったいどのような事態が待っているのでしょうか。この記事では、不倫の示談書による接触禁止に違反した場合の展開と違約金の扱いについて解説します。

示談書による接触禁止とは?

まず示談書による接触禁止が、どういった状況で交わされ、何を禁止しているのかについて押さえておきましょう。ここでは飲食店員のA美さんが、前の職場の上司であるX課長と不倫の関係になっていたことを配偶者のY子さんにばれてしまったケースで解説していきましょう。

示談書は一方的な要求ではない

不倫が相手の配偶者にばれてしまい、不倫の慰謝料を要求する内容証明郵便が、A美さんの自宅に届きました。その文面には、慰謝料の請求とともに「夫(X課長)との接触を禁ずる」と記されていました。

しかし、単に内容証明郵便が届いただけでは、相手の一方的な慰謝料要求書面ですので、法的には何の効力もありません。とはいえ、あえて積極的に接触を続ければ、さらに不倫の証拠を残すことになるばかりか、Y子さんの憎悪にますます火をつけることになることは明らかです。

示談書に接触禁止文言が入れられる

慰謝料要求書面を無視したり、要求内容に納得がいかなかったり場合は、示談で解決を図ることになります。

このときに解決を図るために交わされるのが示談書です。示談書は、慰謝料の支払いに関することが中心になりますが、これに加えて「今後一切、X課長には接触をしない」という一文が入ることがあります。こうした文章は「接触禁止文言」と呼ばれています。

接触禁止文言は強制的に入れられるものではないが……

ただし示談書は、お互いが納得した場合に交わされるものですから、たとえY子さんが接触禁止文言を入れないと示談できないと言っても、A美さんが同意をしなければ、組み込むことはできません。

しかし、事の経緯からA美さんは弱い立場であり、Y子さんの要求を聞き入れなければ、決着しないのは明白です。A美さんが一刻も早くY子さんからの追求を逃れようと思えば、相手のいうことを聞き入れざるをえないのが現実です。

この接触禁止文言には、これを破ったときの違約金の支払い義務が書き込まれるのが一般的です。

接触禁止に強制力はあるのか

それでは、この接触禁止文言入りの示談書を交わした限り、A美さんはX課長と接触をすることはできないのでしょうか。そして、もし接触をしたらどうなるのかについて解説をしましょう。

示談書に法的拘束力はない

示談書は当事者間で交わした約束事ですから、法的拘束力があるわけではありません。この点は、DV被害者への接触を禁じる「接近禁止命令」とは、全く異なります。

接近禁止命令は、違反をすれば罰金や懲役の対象なりますが、示談書による接触禁止文言には、公権力はまったく関与しません。

合法的に会うことは可能

Y子さんに大きな精神的被害を与えた不倫という行為は、けっしてA美さんだけでなせるものでなく、X課長との共同による行為に起因しています。

これは共同不法行為と呼ばれるものであり、複数の人間によって与えられた損害は、不真正連帯債務として、法律的には関係者が共同で負うべき債務として扱われます。このため、この損害請求が妥当であるかといったことや、裁判によって解決すべきではないかといった対応策を、連帯債務者同士が直接協議することは極めて必然性のあることなのです。

したがって、示談書が交わされた後においても、真に債務(慰謝料)への対応策を協議するために接触するのであれば、違約金の対象にはなりません。

現実に再会する人はごく稀

しかし、いくら合法的に会うことが可能で、しかも真に慰謝料の支払いについて対応に苦慮していたとしても、この段階に及んで不倫相手が会ってくれることは、まずありません。

不倫相手は、ほとんどのケースにおいて、不倫がばれた段階で配偶者に許しを請う姿勢で臨んでいるか、離婚協議の対策で目いっぱいになっているからです。つまり自己保身の殻に籠り、不倫相手の窮状など構っていられないのが現実なのです。

接触をしたら違約金を払わないといけないのか

それではA美さんが関係を継続させるためにX課長に接触をして、その事実が発覚したら、違約金を払わないといけないのでしょうか。

示談書に明確に「X課長と接触をした場合は、100万円を支払う」と記載されているにもかかわらず慰謝料対策以外の目的で接触をした場合、A美さんに支払い義務が発生します。この請求を無視続ければ、やがて裁判になり、この金額の有効性について争われることになります。

ひとりで悩むと誤った対応をすることがある

しかし、違約金や慰謝料の支払いを求められて、無視を続けることは、けっして良い結果を生むものではありません。反対に、つい言われるがまま対応をして、後で考えると本来不要な支払いをしてしまったことに気づくこともあります。

違約金や慰謝料の支払い要求には、法律的に適正な判断が求められます。けっして自分一人で判断をするのではなく、必ず法律の専門家である弁護士に相談をしましょう。

接触禁止文言を回避するには

不倫の事実を認めて、慰謝料の支払いにも応じる気持ちではあるが、接触禁止文言には抵抗がある場合、どうすればいいのでしょうか。

接触禁止文言は裁判の判決には入らない

不倫に関する解決方法には、示談、和解、裁判の3段階があります。このうち示談は、両者が合意をすれば接触禁止文言を示談書に入れられることは説明をしてきました。さらに裁判になったとしても、判決前に和解が成立すれば接触禁止文言を入れることは可能です。

しかし、裁判で最後まで争い判決まで及んだ場合は、判決文の中に接触禁止文言が含まれることはありません。ここでは慰謝料に対しても判断が下されるだけです。

したがって、A美さんが慰謝料の金額よりも接触禁止文言に強い抵抗があるのであれば、判決まで持ち込む覚悟が必要になります。

おわりに

示談書の接触禁止文言は、自分では厳守するつもりであっても、かつての不倫相手が待ち伏せをして接触を試みてくるということもあります。こうした場合にすら、接触禁止の違約金を求められるのは、理不尽という他ありません。

示談書の接触禁止文言の対応には、何より法律的な判断が必要になります。訴えられる事態に発展しそうであれば、ひとりで悩むことなく、ただちに弁護士に相談をすることをお勧めします。

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タグ : 不倫
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