不倫がバレて殴られた…不貞行為の慰謝料を減額することは出来る?

公開日:2020.04.21  不倫の慰謝料

不倫バレで殴られた…自分の不倫(不貞行為)が発覚したことにより、被害者(配偶者もしくは不倫相手の配偶者)と会った際に殴られた、暴力を振るわれた場合、問題の最終的な解決として慰謝料の支払いが減額される、もしくは支払いをせずに解決に至るケースが存在します。

但し、暴力を受けたという事実が不倫(不貞行為)の責任そのものを帳消しにするわけではありません。

この記事では、不倫をした立場で被害者から暴力を受けた場合、法的にはどのように判断されるのか、最終的に請求された不倫の慰謝料を減額・免除を求めていく場合にどのよう対処することが適切であるかを解説します。

被害者に殴られても慰謝料を減額する理由にはならない

まず、被害者に殴られたことが不貞行為の慰謝料を軽減するかということについて考えた場合、厳密には、被害者からの暴力は不貞行為の慰謝料の減額理由にはなりません。

これは、被害者から暴力を受けたとしても、不貞行為によって被害者に与えた精神的苦痛が軽減されるわけではないためです。

しかし、冒頭で記載した通り、最終的には被害者への慰謝料の支払いが減額されたり、支払いの必要が無くなる場合があります。それはどのようなケースにあたるのかを見ていきましょう。

結果的に慰謝料の支払いが減額・免除されるのは何故か?

これは、不貞行為の問題とは別に、暴力を受けた問題が生じ、この2つの問題を同時に解決していくことで、それぞれの責任に応じた慰謝料の金額を検討していくためです。つまり、不倫の慰謝料問題では被害者であったものが、暴力問題においては加害者になるため、暴力問題において生じた損害を被害者から加害者にたいして請求することが可能になります。

不貞行為と暴力行為が存在する場合の具体的な解決例

例えば、不貞行為によって受けた被害者の精神的苦痛を慰謝するための金銭、即ち慰謝料は100万円が相当という場合、暴力行為が理由で不貞行為の慰謝料が50万円になったりゼロになるというわけではありません。

しかし、暴力行為を受けたことによって発生した損害があり、仮にこれを50万円とした場合は、今度は暴力を受けた側から慰謝料等を請求することが可能になります。

上記のような事例であれば、当事者間での話し合いの段階において「不貞行為と暴力行為があったことを総合的に勘案し、不貞行為を行った者から50万円を被害者に支払うことによって両方の事案をまとめて解決とする」というような解決が実際には起こり得ます。

不貞行為の慰謝料を減額する方法

不貞行為が発覚したことによって被害者から暴力を受けた経緯がある場合、暴力行為についての慰謝料等の請求が可能である点は上述しました。

不貞行為の慰謝料請求に対して、こちらからも暴力行為の慰謝料等を請求する、もしくはその事実を提示し、2つの問題を総合的に勘案して欲しい旨を伝えることで不貞行為の慰謝料を減額につなげられる可能性があります。

また、暴力行為によって受けた損害の方が大きいと考えられる場合には、不貞行為の慰謝料と暴力行為による慰謝料等で完全に相殺することや、不貞行為の加害者が逆に金銭を受け取る立場になることも考えられます。

いずれの場合にせよ、最終的には不貞行為の慰謝料と併せて解決を希望する場合には、不倫の被害者の合意が必要になります。

暴力行為について受けた損害を金銭で請求する場合

暴力と一言に言っても、顔を平手で殴打された場合と、物を使って激しく殴打されて入院することが必要なほどの怪我を負った場合とでは、当然損害の度合いが異なります。

つまり、暴力を受けた程度によって暴力の加害者に対して請求すべき金銭も変わってくることになります。

暴力行為によって受けた損害を具体的な慰謝料に換算することは法律の専門家の判断を仰ぐ必要がありますが、基本的には暴力行為によって受けた精神的な苦痛や怪我の治療費・入院費、仕事を就業できなくなったことによる収入減少分の補填などの要素に基づいて算定することになります。

暴力行為によって受けた損害を証明することが重要

不倫の被害者から暴力を受けた場合には、暴力を受けた事実や怪我の程度などについて証明をすることが必要となります。

例えば、金銭を請求する段階で暴力を受けて負った怪我が完治しているようなことも考えられますし、被害者が暴力を振るった事実を否定することも考えられます。

そのため、暴力行為を受けた場合にはそれを証明するため以下のような証拠を用意しておくことが望ましいでしょう。

  • 医療機関の診断書
  • 怪我を負った箇所の画像データ等
  • 暴行を受けたことを証明しうる会話等の録音データ
  • 暴行を受けたことを証明しうる第三者の証言
  • 休業したことを証明する資料

上記の内、特に診断書は必要な治療の程度が記載されることもあり、暴力行為について請求する金額算定においても重要な証拠物となります。

もし被害者から暴力を受けた場合にはなるべく早急に医療機関で診断を受け、診断書を作成してもらうことをお勧めします。

暴力行為については金銭の請求だけが解決の方法ではない

暴力行為を受けたことについて、金銭を請求することについて解説しましたが、暴力行為を受けた場合には、不倫の被害者に金銭を支払うよう要求する、謂わば民事的な責任を問う他に、刑事的責任を追及する方法があります。

つまり、警察に被害届を出すことにより、刑事事件として国家に対処を求めるという方法です。

暴力行為を受けたことについて、当事者で対処する民事的な解決を図るか、警察を介入させて刑事的に解決するよう求めるかは、暴力行為を受けた側が決めることになります。

不貞行為による慰謝料請求を受けたときの適切な対処法

ここまで暴力行為を受けた事実が存在する場合の対処方法や考え方について述べてきましたが、不貞行為による慰謝料請求を受けた場合、まずは、暴力行為のこととは切り離し、不倫の被害者から請求されている慰謝料は妥当なのかを見ることが重要です。

被害者からの金額提示は大きく見積もって提示されていることが多い

不貞行為の慰謝料請求の場合、特に弁護士が代理人に立つ請求である場合には、裁判相場に比べて大きい金額が提示される傾向にあります。

例え、弁護士から200万円の慰謝料を支払うよう提示されたとしても、それが妥当とは限らず、実際には交渉を進める中で、事実に基づいた妥当性のある金額に減額できる可能性は十分にあります。

不倫の被害者から提示された慰謝料の金額をそのまま鵜呑みにするのではなく、一度弁護士などに判断を仰ぎ、適切な解決方法を知ることが重要です。

不貞行為による慰謝料を請求された際には冷静・誠実・適切に対応する

不倫の被害者から不貞行為による慰謝料を請求された際には、慌てて対応をしないように注意しましょう。特に、不倫の被害者の弁護士から電話で請求を受けた場合などは、安易な回答をしないよう、より注意が必要です。

不倫について被害者が知り得ない事実までも話してしまうことも考えられるため、被害者とのやり取りにおいては時間を置いて内容を精査し作成できる書面でのやり取りが安全だということを覚えておきましょう。

おわりに

不倫が発覚したことにより不倫の被害者から暴力を受けるというケースは決して少なくありません。

このような状況では、不貞行為の問題とは別に、暴力を受けた問題が生じ、この2つの問題を同時に解決していく必要があります。

そのためにも、まずは被害者との交渉を慌てて進めるのではなく、暴力行為を受けた事実の証拠物や損害の度合いの算定、今後の解決に向けた方針などを準備しておくことを考え、被害者とのやり取りを行うよう心がけましょう。

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タグ : 不倫
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