妊娠中絶の慰謝料・費用を請求されるケースとは?
公開日:2019.06.13 恋愛トラブル
交際相手の女性から妊娠したと告げられると驚く一方、どうしても育てられない事情があることもありますよね。さまざまな事情で妊娠中絶に至った場合、後で慰謝料請求される可能性があります。今回は、どのようなケースで慰謝料請求に応じなければならないのかをご紹介します。
もくじ
妊娠中絶の慰謝料を請求されるケースとは?
女性側からの妊娠中絶の慰謝料を請求された場合、請求が認められる場合と、認められない場合があります。
まず慰謝料請求が認められるケースを見てみましょう。判例上、慰謝料請求が認められるケースには以下のような例があります。
強姦(強制性交)による妊娠の場合
強姦(強制性交)による妊娠した場合、慰謝料請求が認められやすくなります。また、刑法上の強制性交等罪として起訴される可能性もあります(刑法177条 強制性交等罪)。
避妊していると嘘をついた場合
男性側が避妊具を使っていないにも関わらず、使っていると嘘をついて女性を誤信させるケースです。「自分には妊娠させる能力がない」と騙すことも含まれます。
女性の妊娠についての自己決定権を侵害しているとみなされるからです。
妊娠判明後、暴力により中絶を強要した場合
妊娠が分かってから態度を変え、相手の女性に暴力を振るうなどして中絶を促した場合や、「中絶しないと暴力を振るう」などと脅した場合は、強要したものと判断されることがあります。
女性側から対話を求められたが放置。期間が経過した場合
妊娠が判明してから女性から話し合い求められたにも関わらず応じなかった場合、誠実さに欠けるとみなされます。
妊娠中絶の慰謝料を請求されない(できない)ケース
妊娠中絶の慰謝料請求されるケースがある一方、請求されないケースもあります。その例もご紹介します。
男性側に子を迎える意向があったが、女性が一方的に中絶した場合
中絶の慰謝料は、あくまで中絶で受ける精神的苦痛に対する損害賠償請求です。このため、女性が自らの判断で中絶を選んだ場合、男性に責任を問うことはできなくなります。
話し合いの結果、双方が中絶に同意した場合
妊娠が発覚してから双方で話し合いをした結果、両者が中絶に同意した場合。
男性側が意思決定のプロセスで誠実に対応していたのであれば、不法行為は成立せず、中絶による慰謝料請求権も生じません。
ここまで中絶の慰謝料が請求される・されないケースについて見てきました。どちらのケースであっても、双方が誠実に向き合う必要があるのは言うまでもありません。
中絶費用など請求が認められるものもあります
中絶の慰謝料が請求されないケースでも、諸費用が請求される場合があります。
妊娠中絶手術は、女性にとって身体的にも精神的にも過度な負担がかかります。また、中絶の手術費だけでなく術前の検査費、後日治療費、通院費なども必要です。そこで、女性からの慰謝料は認められない場合や、双方が中絶に同意している場合でも、これら中絶にかかる費用など男性側に請求が認められるものもあります。
中絶手術の費用
双方同意の上で性交渉をもち、中絶についても話し合って合意した場合でも、中絶費用双方の負担となります。基本的には男女同額と考えられています。
中絶費用の相場は、病院の規模、手術の種類や妊娠期間により異なります。具体的には妊娠11週目までの妊娠初期では7~15万円ほど、妊娠12週目以降の妊娠中期では20~30万円ほどが目安になります。詳しくは病院に確認してみましょう。
中絶に関する諸費用
中絶手術だけでなく、中絶に至るまでにかかった費用についても請求は可能です。
具体的には妊娠中の診察費、通院にかかった交通費、会社を休んだ場合の休業損害費、手術による子宮損傷や感染症罹患など後遺症についての治療費や慰謝料が対象となります。
これらの費用を女性側が負担した場合、男性にも負担する責任があることから、女性から請求をすることができます。
おわりに
妊娠中絶は、ケースによっては男性にも慰謝料の支払い義務が生じますが、請求権が認められる場合でも相場があります。
妊娠中絶を理由に、相手方から高額な慰謝料を請求されて悩んでいるなど、中絶に関する費用でお困りの方は、なるべく早期に法律知識のある専門家に相談することをおすすめします。
wooorry
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