勝手に中絶したら慰謝料請求された。母体保護法は適用される?

公開日:2019.08.31  恋愛トラブル , その他

妊娠検査薬のイメージ妊娠や出産が女性にとって今後の障壁になるなど様々な事情により、妊娠を継続したくない(できない)こともあるかと思います。しかし、自分ひとりで出産が難しいと判断して中絶手術を行ったことにより、パートナーから慰謝料を請求されたらどうでしょう。

中絶手術による身体へのダメージに合わせて信頼していたパートナーからの慰謝料請求ということで心に傷も負った状態でその対応をしなければなりません。

そこで今回は、女性側の独断で一方的に中絶手術を受けたことで配偶者や彼氏から慰謝料を請求されたら場合の対処法と、合わせて知っておきたい母体保護法について紹介します。

 

母体保護法とは

まずは母体保護法について見ていきましょう。

母体保護法とは昭和23年に制定された法律(当時は優生保護法)で、不妊手術や人工妊娠中絶に関する事柄を法律で定めることによって母体の命や健康を保護することが目的とされています。

 

母体保護法によって、望まぬ妊娠をした場合の母体の保護は確立されています。

ただし、中絶に関しては、医師法第19条によって妊婦の希望に応じて行うことはできず、母体保護法による指定医が中絶の適応があると判断した場合にのみ行うことができます。そのため、中絶したいと申し出ても医師の判断によって拒まれることもあります。

 

勝手に中絶するとどうなる?

勝手に中絶した女性のイメージ母体保護法第14条では人工妊娠中絶ができる要件として次のように定めています。

 

  1. 妊娠期間中や出産時に妊婦の身体や経済的に負担がかかることが分かっており、母体の健康を損ねる恐れがある場合
  2. 女性が抵抗できないレイプ(性暴力)や、性行為を拒絶できなかったなどの理由によって妊娠した場合

 

この場合、妊娠した本人や配偶者の同意がなければ中絶はできません。ただし、配偶者の身に覚えがない妊娠(他人からのレイプ行為による妊娠等)や配偶者自身が意思表示できない場合、妊娠後に配偶者が死亡した場合などは妊娠した女性本人の同意のみで中絶できるとされています。

 

では、本題である「勝手に中絶」という点についてみていきましょう。

夫婦間での妊娠による人工妊娠中絶は上記の通り配偶者の同意がなければ認められないため、ここでは「未婚女性が妊娠した」というケースについて考えます。

 

未婚女性であっても、理由なく中絶した場合は刑法第2編第29章の「堕胎罪(だたいざい)」に問われることがあります。これは、自損(自傷)行為などによって胎児を死なせてしまった場合や、母体保護法指定医以外が中絶の処置を行った場合に問われる可能性がある刑法です。母体保護法指定医(産婦人科医)による中絶手術の場合は、カウンセリングを経て医師の判断のもとで行われるため、罪に問われる可能性は低いと考えられます。

 

まずは、パートナーと産科医に相談を

女性が勝手に中絶手術をするということは、相手の男性は妊娠を望んでいた・子供を育てる覚悟があったため、女性が中絶手術したことに対して慰謝料を請求したと考えられます。

ただし、女性が一方的に中絶を希望する場合、その背景には夫婦関係を築いていくことや経済面の不安など様々な事情が隠れている可能性も否めません。

中絶手術を希望する場合、まず相手の男性と今後についてしっかりと話し合ったうえで、母体保護法で指定されている産科医に相談をすることをおすすめします。

 

勝手に中絶して母体保護法が適用されるケース・されないケース

慰謝料を請求した男性母体保護法が適用され、父親となる男性に断りなく中絶するケースは下記の通りいくつか考えることができます。

 

  • 未成年女性の妊娠の場合(相手の男性が未成年である場合も含む)
  • デートDVによって抵抗できない性行為だった場合(お互いに恋愛感情はあったが、妊娠の計画もなく、避妊をしてもらえなかった)
  • 妊娠21週6日未満の場合
  • なんらかの疾患を持っていて、現状では妊娠や出産が身体的に困難な場合
  • 男性に出産することは歓迎されても、相手に結婚をしてもらえない場合

 

ただし先述の通り、母体保護法が適用されるかについての判断は母体保護法による指定医にゆだねられているため、必ずしもこれらが母体保護法による中絶の理由に当たるとは限りません。

 

母体保護法が適用されないケースとしては、「自損行為での流産」や、「母体保護法指定医による中絶処置ではない場合」です。この場合、勝手に中絶をした女性側が罪に問われる可能性があります。こういった事案では、男性側から慰謝料を請求される可能性が高まります。

 

しかし、母体保護法が適用される理由で中絶をした場合であれば、女性は法によって保護されるため、男性から慰謝料の請求を受けてもそれを退けられる可能性があります。

男女問題は複雑。「男性が慰謝料を請求する理由」や「女性が一方的に中絶を決意する理由」は多様です。中絶がもとで男性から慰謝料を請求された場合は、法律の専門家である弁護士に慰謝料を請求された事実について相談をすることをおすすめします。

 

おわりに

中絶は女性の身体や心に大きな傷をもたらし、中絶を決めたことに対し慰謝料を請求されたら、精神的にも大きな傷を負うことになります。

慰謝料を請求された場合、できるだけ早く弁護士へ相談をおすすめします。

まずはお気軽にご相談ください

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