婚約者がいる人との肉体関係は不倫(不貞行為)になる?慰謝料の支払い義務について解説

公開日:2019.12.28  不倫の慰謝料

婚約者がいる人との肉体関係は不倫(不貞行為)になる?慰謝料の支払い義務について解説婚約者がいる人と肉体関係になった場合、どこまで責任を負うことになるのでしょうか。結婚と違い、婚約という状態は曖昧な要素がたくさんあります。またどこまで相手の状況を理解していたのかという問題も切り離しては考えられません。この記事では、婚約者がいる人と肉体関係になった場合の慰謝料の支払い義務について解説します。

そもそも婚約とは何か

何をもって婚約というのかという点については、法律上の規定があるわけではありません。むしろ、社会通念上の概念に委ねるところが大きいといえます。しかし、法律的な論争になる限りは、何らかの世間的な共通認識があるはずです。ここでは、まず婚約の形態と段階について押さえておきましょう。

二人だけが知る婚約

結婚を口頭で約束した二人が、周囲の人に何も話さなかった場合、婚約をした事実を知る人は、当事者の二人しかいません。とはいえ、これ以上の段階を経ることなく、突然入籍をすることもありますから、けっして軽い気持ちだとか不確かなものとして片づけることはできません。

指輪で意思表示をする

お互いに口約束だけでは不安なことがあります。このため、婚約をした証として、婚約の申し入れをした側から相手に対して婚約指輪を渡すことがあります。この指輪を日常生活でも身に着けていると、一定、周囲に婚約していることを意思表示していることになります。

両家に紹介して、結婚の承諾を得る

お互いの家にパートナーを紹介して、両親の承諾を得るという段階に入ると、いよいよ婚約の事実を知る人は、お互いの家族や親せきまで範囲が広がります。

現在は省略する人も多いのですが、さらに結納を済ませると、世間的な認識からすれば、婚約したと捉えられることになります。

結婚式場を決めて招待状を発送する

結婚式場と日取りを決めて、いよいよ招待状を発送する段階になると、職場の同僚や友人の知るところになります。この段階になれば、誰が見ても、二人は婚約をしているということになります。

結婚を控えて退職をする

昔はほぼ常識だった寿退職ですが、現在は結婚後も同じ職場で働く人も増えてきました。とはいえ、結婚を機に退職をする人も少なくはありません。婚約をするということは、職業にも大きく関わってくることになります。

婚約の事実を知っていたかが争点になる

婚約者のいる人との肉体関係で、慰謝料を請求された場合、相手に婚約者がいる事実を知っていたかが争点になります。慰謝料の支払い義務が生じるのは、「故意または過失があった場合」ということです。

故意とはどんな状況か

故意とは、相手が婚約をしていることを知っていながら、あえて肉体関係になった場合を指します。

過失とはどんな状況か

過失とは、少し相手の挙動に着目をすれば、婚約をしていることが容易に見抜けた場合です。たとえば、肉体関係の相手が今までしていなかった婚約指輪を相手が身に着けているにも関わらず、婚約の事実に気づかなかった場合や、肉体関係の相手が職場の同僚であり、結婚式の招待状が身の回りの人達に届いている段階であれば、婚約の事実を知らなかったという説明は説得力を欠き、注意義務を怠ったとみなされ、過失があるとされます。

あるいは、数か月後に長期休暇を予定している、新居を購入したといったことがあれば、周囲の親しい人達から事情を聴き取れば、結婚を控えていることを容易に知り得たといった状況です。

婚約の段階によって慰謝料も変わる

婚約中の不貞行為に対する慰謝料は、50万円~200万円とされており、基本的に一般的な不倫と大きく変わりませんが、結婚している状況よりも相場金額は低い傾向にあります。

しかし、婚約の段階がどこまで進捗しているのかによって、慰謝料の考え方が大きく異なってくるのが、婚約中の不貞行為に対する慰謝料の特徴です。

たとえば、二人の間のみで婚約を決めたといった場合や家族に紹介したばかりという段階では、精神的ダメージも少ないと考えられるので、慰謝料額も低く評価される傾向にあります。

しかし、結婚式場を予約して、周囲に招待状を送ったという段階になると、裏切られた側の立場からすれば、精神的苦痛は筆舌に尽くし難いという表現を用いてもけっして大げさではありません。そのため慰謝料額も高く評価される傾向にあります。

婚約破棄になれば慰謝料はさらに高額に

不貞行為が原因で破談になれば、予約していた結婚式場のキャンセル料といった実費の損害も負担することになります。

さらに婚約者が妊娠していたり、寿退社をしていたりするケースだと、これらの補償も慰謝料の中に含まれるために、相場を大きく超えることもあります。

慰謝料を払わなくていいケースは?

婚約者のいる人との不貞行為が発覚したからといって、必ず慰謝料を支払うことになるとは限りません。どのようなケースであれば、慰謝料を支払わなくていいのかみていきましょう。

相手が婚約していることを知らず、相手の婚約に気づくことも困難な場合

婚約という段階は、当事者以外は気が付かないことがあるのは、ごく普通のことです。このため、その事実を隠して近づいてくる人がいれば、恋愛関係になるのは、自然の流れなのです。相手の自宅を訪ねても、一人暮らしだと、婚約の痕跡を見つけられないどころか、独身であることをますます確信すらしてしまいます。

このように相手が婚約をしている事実を隠していた場合であれば、不貞行為には該当しないので、慰謝料を支払う必要はありません。

困ったときには弁護士に相談を

婚約者の不貞行為を知った場合、その怒りは肉体関係を持った相手に直接向けられます。その際の怒りの度合いは凄まじいために、つい気圧されてしまいがちです。しかし、ここで最も必要とされるのは、法律的な判断です。相手方からの一方的な慰謝料要求で困った際は、一人で解決するのではなく、必ず法律の専門家である弁護士に相談してください。

慰謝料の支払いが必要ないケースであれば、どうすれば適切な対応ができるのかについてアドバイスをしてもらえますし、万が一慰謝料の支払いが必要なケースであっても、不要に高額を支払うことのないよう適切な対応で臨むことができます。

おわりに

婚約者がいる人と肉体関係に陥るのは、多くの場合、その事実を知らなかったり、既に破綻していると聞かされていたりする人です。いわば騙されて深い関係になったわけですから、不要な慰謝料を支払う必要はありません。

とはいえ、突然慰謝料請求の文書が送付されてくると、とても冷静に判断をする余裕などないでしょう。そんな場合は、ぜひ弁護士に相談するよう心がけてください。

相手に婚約者がいることを知りながら、肉体関係になった場合も、責任の所在は一人だけにあるのではありません。これは当事者二人の共同不法行為ですから、過剰に責任を負う必要はないのです。慰謝料の支払いについて適正な金額で解決できるよう、ぜひ弁護士に相談してみてください。

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タグ : 婚約 不倫 婚約破棄
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