単身赴任中の不倫が原因で慰謝料を請求されたら

公開日:2020.06.04  請求されたら , 不倫の慰謝料

単身赴任中の不倫この記事のポイント
  • 単身赴任を理由に不倫の慰謝料を免除されることはない
  • 単身赴任中の不倫による慰謝料額は一般的な慰謝料の相場と同じ

夫もしくは妻が、パートナーの単身赴任中に不倫をしてしまうということはよくある話です。一緒にいてくれないことが寂しいという理由や、浮気してもバレないだろうという気の緩みなどが浮気の原因になるようです。

もし不倫がバレた場合、単身赴任をしていることを理由に慰謝料の免除や減額はあり得るのでしょうか?単身赴任中の浮気がバレた時の慰謝料請求について、詳しく解説してきます。

不倫と慰謝料について

そもそも、どんな行為が不倫と定義されるのか境界線が曖昧だと考える人は多いでしょう。ここでは法律上、違法行為とみなされ、慰謝料の請求が認められる不倫の定義について知っておきましょう。

法律上の不倫の定義

どこから不倫とされるのか、考え方には個人差があるものです。配偶者以外の異性と二人きりで食事をしたり、会うだけで不倫だと考える人もいれば、肉体関係があれば不倫だと考える人もいるでしょう。

法律には不倫という概念は明記されていません。しかし、法律上、夫婦にはパートナー以外の異性と肉体関係をもたない義務があり、それを破ることはパートナーの権利を侵害する行為であると考えられています。パートナー以外の異性と肉体関係を持つことを法律では「不貞行為」と呼び、その行為が法律上の「不倫」であると考えられています。

不倫の慰謝料について

慰謝料とは、精神的な苦痛を受けたことへの損害賠償になります。不倫の慰謝料とは、パートナーが不倫をしたことで受けた精神的ストレスや苦痛を賠償する金銭になります。

単身赴任は不倫の言い訳になるのか?

単身赴任中には夫婦が離れて暮らすことになるため、夫婦関係が上手くいかないこともあるかもしれません。寂しさを紛らわすために不倫をしてしまうようなこともあり得ます。しかし、単身赴任をしているということは、不倫の言い訳として通用するのでしょうか?

単身赴任は不倫の言い訳にならない

結論から言うと、単身赴任をしているということは不倫の言い訳にはなりません。単身赴任をしていて寂しかったからという理由は、慰謝料を支払う義務を免責する正当な理由にはなりません。

元々夫婦関係が悪化していた場合は慰謝料が免責もしくは減額される可能性がある

ただし、単身赴任の形であったとしても、夫婦関係が破綻し、離婚を前提として別居している場合や、別居が5年以上経過し、一切連絡もとっておらず、実質的に夫婦関係が存在しないような状況の場合には夫婦関係が破綻しているとみなされる可能性があります。

不倫が生じる前の夫婦関係が破綻している場合、慰謝料の支払い義務は生じないと考えられており、また、元々の夫婦関係が破綻しているとは認められないものの、円満ではなかったとみなされる状況の場合には、慰謝料が減額される理由となります。

単身赴任中に起きた不倫の慰謝料はどれくらい?

単身赴任中の不倫慰謝料はどれくらいが相場になるのでしょうか?

不倫慰謝料の一般的な相場

そもそも慰謝料は精神的な損害への賠償になるため、精神的な苦痛を金額に換算することは難しいものです。そのため、法律で明確な金額が定められているわけではありません。

相場とは過去に不倫の慰謝料について行われた裁判で認められた慰謝料の金額の相場を示しています。裁判では、不倫状況や夫婦関係などさまざまな事情を考慮して金額が決められます。

不倫慰謝料では50~300万円が相場となり、不倫状況などを加味して慰謝料が増減されるのです。別居や離婚をしない場合であれば50~100万円、別居や離婚をする場合には100~300万円が相場になります。

単身赴任が原因で慰謝料が免責・減額されることはない

単身赴任中だからといって慰謝料が免責されることもなければ、減額される理由にもなりません。そのため、単身赴任中の不倫の慰謝料がどれくらいの相場であるかを考える場合、一般的な慰謝料相場として50~300万円と考えます。単身赴任という理由で慰謝料が増減されるのではなく、不倫回数や不倫をした前後の夫婦関係の状況などを考慮して妥当な金額を検討していきます。

不倫の慰謝料額の増減に影響する事情とは?

単身赴任が慰謝料額の増減に影響を及ぼすことはありません。どのような事情が慰謝料額に影響するのか見ていきましょう。

不倫発覚後の夫婦関係

不倫慰謝料の相場でも述べたように、不倫が発覚した後に夫婦が婚姻関係をそのまま継続するか、別居するか、離婚するかにより、慰謝料額に大きく影響します。

不倫が発覚した後も婚姻関係が継続されるのであれば、慰謝料は低額となる傾向にあります。しかし、不倫が発覚した後に別居や離婚に至った場合には、パートナーの精神的苦痛に対し、不倫が家庭を崩壊させた事情が加わり、慰謝料が慰謝料が増額される傾向にあります。

不倫の回数や期間

不倫の回数や期間なども不倫慰謝料額に影響を与えます。不倫期間が長い場合、特に10年を超える場合や、不倫回数が多い場合には悪質性が高いと判断されて慰謝料は増額されます。

また、不倫相手が妊娠・出産した場合にも悪質性が高く、配偶者に大きな精神的苦痛を与えたとして増額されることになります。

婚姻期間や夫婦関係

夫婦の関係性も慰謝料額に影響を与えることになります。婚姻期間が短いほど慰謝料額は減額傾向にあり、婚姻期間が長いほど再スタートを切ることは困難であると判断されて慰謝料は増額されます。また、不倫前の夫婦関係も判断材料になります。不倫前から夫婦関係が悪化していて別居をしている場合には、不倫だけが夫婦関係を破綻させた原因ではないと考えられるようです。

子供の有無

夫婦間の子供の有無も慰謝料額に影響します。子供がいる場合には、不倫が子供にもストレスや精神的な苦痛を与えることになります。子供が幼いほど両親が必要になるにも関わらず不倫をしていたとして悪質性が高いと考えられます。そのため、子供が幼いほど慰謝料額は増額される傾向にあります。

単身赴任中の不倫が原因で離婚と慰謝料を請求されたら

パートナーから単身赴任中の不倫による慰謝料請求をされた場合、肉体関係がないのであれば、不倫慰謝料を請求されても支払い義務は生じません。

しかし、肉体関係があったのであれば、慰謝料の支払い義務は生じます。パートナーから離婚と不倫の慰謝料を請求されたら、どう対処すべきでしょうか。

不倫を全て知られているとき

夫婦関係が継続できるか、最終的に慰謝料を支払わなければならないかは、全てを法律が決めるわけではなく、パートナーの考えを変えることができるかどうかにかかっています。

パートナーが不倫の事実を全て把握していて、それを証明する証拠を準備している場合、嘘や言い訳は通用しないでしょう。誠心誠意謝罪し、将来、同じ過ちを繰り返さないこと、不安を感じさせることがないように行動することをパートナーに信じさせることができれば、夫婦関係を継続できる可能性は十分あります。

このとき、口約束だけでは信用できないとパートナーが不安になる可能性もありますので、約束を書面で残すために「夫婦間合意書」を作成することをお勧めします。

離婚を免れないとき

パートナーと話し合っても、考えを変えてもらえない場合には、最終的に離婚を受け入る必要があるかもしれません。

しかし、離婚に応じる場合にはパートナーの請求に全て応じる必要があるかというと、そうではありません。

慰謝料が高額すぎる場合や、公平性のかける財産分与を求められる場合、不倫が発覚する以前から夫婦関係が悪化していた場合には、慰謝料の支払い義務があるかを検討する必要もあります。

まずは、法律の専門家に相談して、パートナーの請求が正当なものであるのかを確認しましょう。その上で、離婚協議をどのように進めるべきかを検討し、解決に臨まれることで、適切に対応することができます。

まずはお気軽にご相談ください。

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タグ : 不倫
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