不倫にも時効はあるの?
公開日:2019.06.13 不倫の慰謝料
「不倫していたのは昔なのに、今さら慰謝料を請求された!」
そんなとき、確認したいのが慰謝料請求の「時効」です。不倫でも、相手の配偶者が慰謝料請求できる権利は一定期間を過ぎたら消滅します。
今回は、不倫による慰謝料請求の時効の考え方とその期限、さらに時効を主張する方法について解説します。
もくじ
不倫にも時効はあるの?
不倫にも、時効が存在します。ただし、不倫は罪を犯して警察につかまる犯罪ではありません。不倫が罪に問われるのは、あくまで民法に規定されている「夫婦の貞操義務」に対してです。
そして、不倫の時効で消えてなくなるのは、不倫相手に慰謝料を請求する「権利」です。
不倫の慰謝料は、民法の不法行為に対する請求
法律上、不倫は不貞行為と呼ばれます。互いに貞操義務がある夫婦が、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことが、不貞行為に該当します。不貞行為は、民法709条で定める不法行為にあたります。
民法709条では、「法律上保護される権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。これにより、不倫をされた妻(夫)は、民法709条に基づいて不倫した本人(夫や妻)に慰謝料を請求することが可能なのです。
不倫相手にも慰謝料請求が来るのは、共同不法行為だから
不倫は1人ではできません。相手があってはじめて成立します。そのため、不倫の不法行為は基本的には不倫を行っている両者が不法行為を行っているとして、共同不法行為とされます。そのため、不法行為に対する損害の請求(=慰謝料請求)は、不倫をした本人(夫や妻)とその相手の両者が責任を負うべきというのが民法の考えです。
そのため、不倫された配偶者は、不倫した夫や妻だけでなく、肉体関係を結んだ相手にまで慰謝料を請求する権利を持ちます。
このことについて詳しくは、以下をご参照ください。
(参考:『共同不法行為とは?その意味と成立条件』)
不倫の慰謝料請求の時効とは?
では、不倫の慰謝料請求が時効を迎えるのはいつでしょうか。これには、2つの考え方があります。
- 短期消滅時効(3年)
- 除斥期間(20年)
このどちらかの、短い期間で時効が成立します。以下に、それぞれ詳しく説明します。
1.短期消滅時効
短期消滅時効とは、慰謝料を請求する権利を持っている人(不倫した人の妻・夫)が、不倫の事実を知ってから3年で慰謝料請求の権利がなくなるというものです。この、「不倫の事実を知ってから」というのは、不倫の事実を認識しただけでなく、慰謝料請求の対象者である不倫相手が誰かを特定し、住所と氏名を把握してからを指します。
つまり、自分の妻(夫)が不倫をしていることを認識して、その相手の住所や名前など請求可能となる情報を知り得た時から3年間が時効となる、ということです。不倫で時効が成立する要件としてはこちらになるケースが多いです。
2.除斥期間
除斥期間とは、不法行為(不倫)が開始したときから、20年を過ぎたら慰謝料の請求権利がなくなると考えるものです。
つまり、不倫した本人の配偶者がその事実を知っても知らなくても、不倫開始から20年が経過すれば、自動的に慰謝料を請求する権利がなくなるというものです。
不倫の慰謝料請求に対し時効を主張するには?
慰謝料請求の時効を主張するには、「時効の援用」をおこないます。
これは、不倫の慰謝料請求ができる期限が経過したと、相手に通知することです。時効の援用の方法に、決まったやり方はありません。口頭で「時効を援用します」と伝えるだけでも、時効を通知したことになります。
時効の援用に内容証明郵便を使って、確実なやりとりを残す
口頭でも可能な時効の援用ですが、確実性をあげるには、文書で残すことが大切です。口頭だけでは、後で「言った」、「言わない」の議論になる可能性があります。時効の援用におすすめの方法は、文書を受け取った日付を証明できる「内容証明郵便」を利用することです。
内容証明郵便とは郵便局が提供する配達サービスの一種です。いつ、いかなる内容の文書を相手方が受け取ったのかを公的に証明できます。それにより、消滅時効が主張された日付がごまかされるのを防ぎます。
時効の援用が利用できるかどうかや通知書面の作成にご不安がある場合には、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
おわりに
もし過去の不倫に対して慰謝料請求をされたら、時効が成立しているかを確認しましょう。消滅時効の3年、または除斥期間の20年を過ぎていたら、相手には慰謝料を請求する権利はありません。時効が成立しているか自分で判断することが難しい場合には、法律の専門家である弁護士にぜひご相談ください。
wooorry
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