不倫の慰謝料を請求されてから解決するまでの流れを解説
公開日:2020.02.07 不倫の慰謝料
この記事を読んでわかること
✔︎慰謝料を請求された場合、「示談(話し合い)」で解決する場合と「裁判」で解決する場合がある
✔︎示談と裁判ではそれぞれのメリット・デメリットがある
ある日突然、不倫に対する慰謝料請求が自宅に届いたら、おそらく多くの人がパニックに陥るのではないでしょうか。でも、解決までの流れを掴めば、必要以上に慌てふためくことはありません。
この記事では、不倫による慰謝料を請求された際に、示談交渉や裁判で気をつけたいポイントを示すとともに、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されてから解決するまでの流れを解説します。
もくじ
慰謝料請求をされてから解決までの流れ
不倫が発覚すると、多くのケースで相手の配偶者から慰謝料を請求されることになります。もし慰謝料を請求されたら、どのように対応すればいいのでしょうか。ここでは慰謝料を請求されてから解決までの流れを解説していきましょう。
相手から内容証明郵便が届く
不倫相手の配偶者が慰謝料を請求する場合、慰謝料を請求する旨が書かれた書面が内容証明郵便で送付されてくるのが一般的です。ほとんどが予告なく送られてくるため、誰しも突然の請求に大きく動揺してしまいます。
だからといって、慌てふためくだけでは何の解決にもなりません。文面にしっかり目を通して、相手方の言い分と根拠をしっかりとチェックする必要があります。請求者が必ずしも事実関係を正確に把握しているとは限らないからです。
事実誤認や誤解があれば、きちんと否定をしておかないと、後々不利な展開になりかねません。
請求内容をしっかりとチェックする
被害者が、どこまで事実関係を知っているのかを文面から推察することも重要です。もし被害者が裁判まで視野に入れているとすれば、証拠を残すために、かなり以前から興信所に調査を依頼していることも考えられます。
一定期間、頻繁に逢瀬を重ねた事実があり、慰謝料請求の文面もその事実を裏付けているような内容であれば、事実を認めたうえで、慰謝料の金額や支払い方法を交渉する流れになります。
しかし、相手方が通り一遍の状況証拠のみで、不倫関係を追及しているのであれば、事実と異なる部分は、きちんと反論をしておかないと、後に「事実」として取り扱われ、示談交渉や裁判で不利な立場に追い込まれることになります。
また、不倫相手が独身であると騙ったり、夫婦関係が破綻していると告げていたりした場合であれば、不法行為ではないとして、全面的に反論をすることができます。
回答書を内容証明郵便で送付する
慰謝料請求をしっかりとチェックしたうえで、相手方が主張している事実関係や慰謝料の金額に納得がいかないのであれば、内容証明郵便で回答書を送付します。
示談ができなければ裁判になる可能性がある
不倫が事実であり、その証拠もきちんと揃えられているのであれば、争点は慰謝料の妥当性と支払方法に絞られます。この場合、多くは示談によって決着がつけられますが、どうしても折り合いがつかない場合は、裁判による決着を図ることになります。
しかし、不倫相手が独身だと偽っていたり、既に別居状態だと告げていたりしていた場合は、相手の要求を受け入れることはできません。ただし、被害者は、既婚者であると知ったうえで性交渉に及んだと思い込んでいますから、これを覆すのはかなり困難なことです。
メールの文面や音声などの明確な証拠があれば、それを提示することで相手方も納得をして慰謝料請求を引き下げることがありますが、明確な裏付けがない場合は、示談交渉が暗礁に乗り上げることがあります。
その場合は、裁判も辞さないといった毅然とした姿勢で臨むと共に、貞操権が侵害されたとして不倫相手を訴えることも選択肢としてあります。
示談交渉が立ち消えになることがある
慰謝料請求が示談で決着がつかない場合でも、必ずしも裁判になるとはかぎりません。示談交渉で被害者の知らなかった事実が発覚したり、気力が喪失したりすることで、示談交渉が立ち消えになることがあります。
しかし、その場合であっても、慰謝料請求の主導権は被害者にあるので、請求に対する干渉はできません。はっきりと解決したとはいえない、中途半端な状況におかれてしまいますが、一定期間被害者からのアクションがなければ解決したものと考えていいでしょう。
示談は示談書によって解決
不倫問題を示談で解決する場合は、示談書を作成します。示談書そのものの作成は、被害者側でも加害者側が行っても構いません。ただし、法律上の決まりごともありますから、後々に問題が発生しないように、示談書の作成に際しては、法律の専門家である弁護士にサポートを依頼した方がいいでしょう。
裁判による解決は和解か判決
示談によって決着がつかない場合、多くは裁判になります。ただし、裁判が開始された後も、和解による解決方法があります。和解が成立しない場合は、最終的に判決に従うことになります。
慰謝料を請求された場合 示談と裁判で解決する場合の違い5つ
慰謝料を請求された場合、示談や裁判によって解決を図ることになります。しかし、示談と裁判には、それぞれメリットとデメリットがあるため、状況に応じて最適な解決方法を選択することが望まれます。ここでは、慰謝料を請求された際に、示談や裁判で気をつけるべきポイントについて解説していきます。
その1:示談は相場の金額で決着するとは限らない
不倫の慰謝料請求においては、被害者は感情的な要求をしてくることが多く、相場よりも高い金額を提示してくることも少なくありません。ただし、示談は話し合いによって慰謝料を決定するため、慰謝料以外の付帯条件(謝罪・接触禁止や退職などの約束)や裁判にかかる費用の負担や当事者の感情等の多くの事情が影響するため、最終的に決定される慰謝料の金額は相場以上になることもあれば、相場以下となることもあります。
裁判の場合、裁判官が不倫の経緯を客観的に判断したうえで、類似の事例と照らし合わせながら慰謝料を決定するため、相場の金額で決着することが期待できます。
その2:示談では付帯条項の要求がある
示談では被害者の思いがそのまま提示されるため、慰謝料請求の他に「直接謝罪をすること」「謝罪文を提出すること」「職場に事実を報告すること」「不倫相手と接触をしないこと」といったことを要求されることがあります。受け入れ難い要求は断ることができますが、これらの条件を受け入れることで、被害者が譲歩し慰謝料の減額希望を受け入れることも多くあります。
裁判による解決をする場合、判決で示されるのは慰謝料の金額についてのみですから、付帯条項について頭を悩ませることはありません。
その3:裁判になると訴状が自宅または職場に送られてくる
裁判になると、裁判所名が記載された封筒で訴状が送られてきます。訴状は相手方の自宅か職場に送達するという決まりになっていることから、図らずも家族や職場の人に裁判絡みの揉め事を抱えていることを知られてしまう可能性があります。
その4:判決が確定すると強制執行の可能性がある
裁判の判決は、原告に支払う慰謝料の金額が示されますが、これは一括払いを前提としています。このため、判決を受けた後に慰謝料を支払わない場合、相手が強制執行手続きを行い、預貯金口座や給与を差し押さえられることがあります。
給与の差し押さえは、慰謝料が全額支払えるまで続きますので、慰謝料支払いの判決を受けた事実が職場に知られることになります。
その5:裁判は判決まで時間がかかる
慰謝料請求の裁判は、裁判提起から判決までに約1年の期間を要します。この間に必要に応じて、平日、裁判所に出廷して意見を述べることになります。裁判は公開で行われますから、不倫相手の親族や職場の関係者も傍聴席に座る可能性があります。
裁判になると長期間にわたり、こうした精神的なストレスに耐えなければいけないことになります。
おわりに
不倫の慰謝料請求は、示談や裁判によって解決をすることになります。
示談では、早い決着を図ることが期待できますが、さまざまな付帯条件を付けられる可能性もあり、交渉次第で結果は大きく異なる点は否めません。
すっきりと相場どおりの慰謝料で解決したいと考えるのであれば、裁判による決着という選択肢があります。ただし、裁判になると、弁護士に依頼しなければ、平日に何度も裁判所に出廷する必要が生じ、裁判手続きの対応も自ら行うことは容易ではないかもしれません。また、家族や職場の人に隠したままで裁判を進めることも困難です。
慰謝料問題は示談と裁判のそれぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、どの方法を選択するかを決定することになります。
示談によって解決するのであれば、相手と適切に話し合い(交渉)を進めなければなりません。適切な対応を判断する上では、法律的な知識を要しますので、ぜひ弁護士に相談することをおすすめします。

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