不倫の慰謝料が高額になる要因とは?減額交渉はできる?

公開日:2020.02.07  不倫の慰謝料

不倫による慰謝料が高額になる要因とは?減額交渉はできる?

この記事を読んでわかること

 ✔︎慰謝料の金額が高額となる事情と低額となる事情

 ✔︎高額な慰謝料を請求された場合、誠心誠意の謝罪と事実説明、適切な交渉により、慰謝料を減額できる可能性が十分にある


肉体関係を伴う不倫関係が発覚した場合、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されることがあります。不貞行為に対する償いとして、慰謝料を支払うのはやむを得ないところですが、請求金額があまりに高額だったとしたら、どう対処すればいいのでしょうか。この記事では、不倫による慰謝料が高額になる要因を明らかにしたうえで、減額交渉の方法について解説します。

不倫の慰謝料相場はどれくらい?

不倫の慰謝料が高額なのか否かを判断するためには、慰謝料の相場を押さえておく必要があります。慰謝料は、不倫相手の夫婦関係が、不倫発覚後にどうなったのかによって異なります。

相手方の夫婦が離婚した場合の相場は、100万円~300万円ですが、夫婦関係を引き続き維持する場合は50万円~100万円です。個々の事情や状況によって、必ずしもこの範囲に収まるとはいえませんが、たとえば1000万円といった、相場を大きく超える請求があったような場合は、高額請求だと考えていいでしょう。

不倫の慰謝料が高額になる可能性があるケース

一概に不倫と言っても、その経緯や状況はそれぞれ異なります。同様に慰謝料の請求額も経緯や状況によって異なることになります。どのような状況の不倫であれば、慰謝料が高額になる可能性があるのかについてみていきましょう。

夫婦の婚姻期間が長い

不倫相手と配偶者の婚姻期間が長い場合、慰謝料が高額になる可能性があります。

夫婦の関係が円満であった

不倫相手と配偶者の夫婦関係が円満であった場合、慰謝料が高額になる可能性があります。

不倫相手に夫婦を破綻させる意図があった

夫婦関係が円満であったにもかかわらず、不倫相手が夫婦関係を破綻させる意図をもって交際をしてきたことが明白であれば、慰謝料が高額となる可能性があります。たとえば、結婚を強く迫ったり、直接不倫相手の配偶者に接触して離婚を要求したり、嫌がらせ行為を行うようなケースが該当します。

不貞行為の回数が多く長期間に及ぶ

不倫が一度や2度だけで終わらず数十回を超える場合は、慰謝料が高額となる可能性があります。過去の判例では、20回を超えたケースで「多い」との判示を受けました。

不倫期間中の妊娠・出産

不倫期間中に妻または不倫相手が妊娠や出産をした場合は、被害者の受ける精神的ダメージが通常時よりも大きいと考えられるため、慰謝料が高額となる可能性があります。

不倫行為を主導した

仕事上の上司であるとか社会的に上位の立場であることを背景に不倫関係を迫り、その後も強く関係の継続を要求した場合は、不倫行為の主導者であるとして、慰謝料が高額となる可能性があります。

不倫が原因で不倫相手の配偶者が経済的に困窮した生活を強いられた場合

不倫相手に大金や高級ブランド品などを贈与し、配偶者やその家族に生活費が支払われず経済的に困窮した生活を余儀なくされた場合、慰謝料が高額となる可能性があります。

不倫行為を否認する

不倫が発覚した後も、その事実を潔く認めなかったり、虚偽の経過を説明したりすると、慰謝料が高額となる可能性があります。

不倫発覚後の約束違反

一度不倫相手の配偶者に関係が発覚し、関係解消と二度と会わないと約束したにもかかわらず、約束を反故にして関係を再開した場合は、慰謝料が高額となる可能性があります。

不倫の慰謝料が低額になる可能性があるケース

それでは反対に、不倫の慰謝料が低額になる可能性があるのは、どのようなケースなのか一部をみていきましょう。

夫婦の婚姻期間が短い

不倫相手と配偶者の婚姻期間が短い場合、慰謝料が低額になる可能性があります。

夫婦の関係が円満ではなかった

不倫相手と配偶者の夫婦関係が円満ではなかった場合、慰謝料が低額になる可能性があります。円満ではない状況としては、不倫相手の配偶者が過去に同様の不倫をしていた場合や暴力行為を受けていた場合、離婚を視野に入れた別居状態や家庭内別居の状態であった場合などが該当します。

立場上上位にある人物からの不倫の誘いを拒めなかった

不倫相手が会社の上司であったり、取引先の役員であったりした場合、不倫の誘いを無下に断れば、職務上不利な立場に追い込まれることが明白です。積極的に不倫関係に及んではいなかった事実がある場合には慰謝料が減額される事情になる可能性があります。

不倫期間が短い

不倫が一度きりであったり、複数回の性交渉があったが、不倫期間が1カ月程度だったりした場合は、慰謝料が低額になる可能性があります。

不倫関係が解消されてから長期間が経過している

一定期間不倫関係が続いていたことは事実だが、相当以前に不倫関係が解消されていることが明白であれば、慰謝料が低額になる可能性があります。

強い反省の意を相手に示している

不倫発覚後、不倫相手の配偶者に対して加害者が誠心誠意の謝罪を行い、誠実に対応をした場合、慰謝料が低額になる可能性があります。

不倫の慰謝料を請求されてから減額を交渉する流れを解説

被害者が慰謝料を請求する場合、慰謝料の請求額は被害者が自由に決めることができるため、不倫の経緯や事情に関係なく、裁判相場を超える高額な請求を行われる傾向にあります。

しかしながら、加害者側から不倫の経緯や事情を踏まえ、請求されている慰謝料金額が裁判相場に比べ高額で相応ではないことを説明することで、被害者が相応な金額まで減額を受け入れることがあります。

ここでは、慰謝料の減額を交渉するためには、どのような流れで進めていけばいいのかについて解説をします。

高額の慰謝料の請求にはどのように対応すればいいのか

不倫の慰謝料を請求された場合、どのように対応するかを決めなくてはいけません。不倫が明白な場合、争点となるのは、請求金額の妥当性です。いくら非があるとはいえ、あまりに高額な請求だと、受け入れ難いと考えるのは当然の感情です。

請求額の妥当性の判断は、裁判になった場合を想定してみるという方法があります。裁判だと、相場の金額で決着がつくことがほとんどです。それに加えて相手方の弁護士費用を負担することになる可能性があることから、「相場金額+弁護士費用」をはるかに超えた金額を請求されたとしたら、それは裁判相場に比べて高額の請求だといえます。

この場合、あえて訴訟に応じるという道を選ぶのもひとつの選択肢です。一方で、自分の思いを相手方に伝えることで減額の余地があると判断できるのであれば、被害者に減額を申し出るという方法も有力な選択肢です。

相手にどうやって減額要望を伝えるのか

慰謝料請求は、内容証明郵便で届けられるのが一般的です。減額の申し出は、直接被害者と話し合うという方法も考えられますが、実際、被害者が直接会ってくれることはあまりなく、口頭での話し合いは誤解やトラブルを生じる可能性があるため、あまり適切ではありません。

交渉は書面のやりとりで行う

慰謝料請求に対する交渉は自分の考えを記載した書面を相手に送付することで話し合いを進めるのが一般的です。ここで加害者側から被害者に差し出す書面を「回答書」と呼ぶことがあります。送付方法は内容証明郵便を利用することもありますが、書留など通常の郵送方法で送る場合や、SNS、Eメールなどを利用することもあります。

「回答書」の内容は十分に検討し、適切な主張を行うことが重要

被害者は加害者に対し嫌悪感を抱いていますから、ただ単に「婚姻期間が短いから高額すぎる」「不倫が始まったのは相手のせいだ」などと自分の考えを押し付け、被害者の感情になんの配慮もない主張を行うものであれば、相手は減額の要望に応じることはありません。

そのため、回答書に記載する文面こそが、慰謝料を減額してもらえる大きな決め手となるのです。適切な回答書面には以下の内容を含みます。

・誠心誠意の謝罪

・なぜ慰謝料の請求額が高額であるかを示す法的根拠

・妥当な提案(慰謝料金額や相手の希望に沿った付帯条件など)

自分で回答書を作成できない場合には弁護士に依頼しましょう

「できることなら裁判を避けて示談で穏便に解決したい。そのうえで慰謝料も減額してほしい、でも自分では上手く回答書を作る自信がない。」というご不安を抱えられ、どうしたらいいのか方法に悩まれている方は多くいらっしゃいます。

そのような場合には、法律の専門家である弁護士に回答書の作成について相談することを検討されてみてください。

慰謝料請求において主導権を握っているのは請求する側です。話し合いの中で、不用意な回答を行うことで、相手は訴訟に踏み切ることを決断する可能性は十分にあります。

回答するチャンスは何度もあるわけではありません。一度の機会で適切な回答を行えなければ、慰謝料問題を解決するまでの時間・費用・労力がより大きいものになってしまう恐れがあるのです。

おわりに

不倫が発覚して高額な慰謝料を請求された際は、誠心誠意の謝罪と事実説明、減額の交渉を適切に行うことで、慰謝料を減額できる可能性が十分にあります。

ただし、なんらかの行動を起こす前に、請求された慰謝料が妥当な金額なのか、そもそも慰謝料を支払う義務はあるのか、どのような解決方法があるのかを理解することが一番重要です。

ご不安に悩まれる前に、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。

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タグ : 不倫 慰謝料請求
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