不倫の責任はだれにある?慰謝料の責任割合について解説

公開日:2019.12.20  不倫の慰謝料

不倫の責任はだれにある?慰謝料の責任割合について解説夫の不倫が発覚して、妻が相手の女性に慰謝料を請求したという話をよく耳にするようになりました。でも本当に相手の女性だけが全面的に責任を負わないといけないのでしょうか。この記事では、不倫の責任が当事者の二人にあることを明らかなしたうえで、慰謝料の責任割合について解説します。

不倫の責任は当事者の二人にある

夫に不倫が発覚した場合、妻が相手の女性に対して慰謝料を求めることがあります。でも、不倫は二人が行ったことなのに、相手の女性だけが慰謝料を支払うことに納得がいかないという人も多いのではないでしょうか。法律的に不倫の責任は誰にあるのか解説をしていきましょう。

不倫は「共同不法行為」

不倫が一人でできないことは、あえて説明するまでもありません。不倫は配偶者がいる人とその相手がいて初めて成り立つものですから、不倫という不法行為は二人で行ったことになります。法律的にこれを「共同不法行為」といいます。つまり不倫の責任は、どちらか一人にあるのではなく、当事者の二人にあるということです。

慰謝料請求の流れと求償権

慰謝料がどのように請求されるのかについて押さえたうえで、慰謝料を請求された者が不倫相手に一部負担を請求できる求償権について解説します。これは共同不法行為を明確にするうえで、非常に重要な権利です。

ここでは夫が会社の部下の女性と不倫したケースで話を進めます。

妻が相手女性のみに慰謝料を請求するケース

妻が相手女性のみに慰謝料を請求するのは、基本的に夫との諍いが収まったケースです。夫とは夫婦関係を修復したのですから、引き続き生計はひとつです。たとえ感情的なしこりがあったとしても、同じ「サイフ」の中から慰謝料を支出することになりますから、夫に慰謝料を請求しても意味を成しません。

妻が相手の女性と夫に慰謝料を請求するケース

妻が相手の女性だけでなく夫にも慰謝料を請求するのは、離婚を決断したときです。この場合、離婚に伴う財産分与とは別に、夫に対しても慰謝料を求めるのが一般的です。

慰謝料請求額の妥当性について

ここで慰謝料請求額の妥当性と考え方について整理しておきましょう。妻が慰謝料を請求するのは「精神的苦痛」に対する代償です。したがって、この金額は加害者側の人数が単数であっても複数であっても変化するものではありません。つまり、相手側女性にのみ慰謝料として200万円を請求するのであれば、女性と夫に請求するケースでも、慰謝料の合計が200万円でないと辻褄が合わないということになります。

ところが実際の示談交渉では、感情任せにそれぞれに請求するために、理屈どおりに収まることは、まずありません。どうしても二人に請求した合計金額の方が、一人に請求する金額よりも大きくなりがちです。しかし適正な慰謝料を支払うためには、まず精神的苦痛の代償として、どのくらいの金額が妥当なのかを押さえることが、とても重要なのです。

求償権について

慰謝料の責任割合について考えるには、求償権(きゅうしょうけん)を切り離して考えることはできません。

求償権とは、不倫の慰謝料として、どちらか一人のみが支払う展開になった場合に、その負担の一部を不倫相手に請求できる権利です。

たとえば妻からの200万円の慰謝料を請求されてA子さんが全額支払ったとします。このとき、A子さんが自分の不倫の責任は50%だと考えれば、後にA子さんは、夫に対して100万円を請求することになります。この請求できる権利が請求権です。

迷ったときには弁護士に相談を

慰謝料の請求額が高いのではないかといったことや、自分一人が慰謝料を負担するのは納得ができないという事態に遭遇した際は、ひとりで悩むことなく、必ず法律の専門家である弁護士に相談をしましょう。不倫の責任は負うとしても、不当に高額な要求に従う必要はありません。弁護士の適切なアドバイスによって、新たな展開に進むことができます。

慰謝料の責任割合はどう考えればいいのか

慰謝料を不倫相手の配偶者から請求されたとしても、後に求償権によって不倫相手に一部負担させることは可能です。しかし負担割合は、主観的なものでなく、一定合理的に説明がつくものでなければ説得力を欠きます。

最終的に裁判に至った場合に、思うとおりの判決を得るためにも、慰謝料の責任割合について、しっかりと押さえておく必要があります。ここでは、ケースごとに慰謝料の責任負担割合について解説していきましょう。

10:0のケース

不倫の慰謝料を請求されたものの、まったく本人に責任がないケースもあります。たとえば、不倫相手が「自分は独身である」と騙っていたり、「妻とは事実上婚姻関係が破綻している」との説明を受けていたりしていた場合がこれに該当します。

ただし不倫相手が「そんなことは言っていない」と否定することも少なくありませんから、これを裏付ける証拠が必要になることがあります。

7:3のケース

会社の上司であるといったことや得意先の役員であるといった、仕事を続けるにあたって服従せざるを得ない立場であることを利用して、付き合いを迫られて、やむなく不倫関係に陥った場合であれば、不倫相手に70%の責任を請求することができます。

ただし、あくまで仕事上の弱い立場で断れなかったということや、常に受動態であったことが重要です。さらに交友機関が短いといったことや肉体関係の回数が数回であるといったことも判定材料になります。

6:4のケース

当初の経緯が不倫相手から執拗に言い寄られたものであったとしても、後にそれを受け入れる感情の変化があれば、受け入れた側の責任は大きくなります。

たとえば、突然の自宅への訪問を受けて、断り切れずに家に招き入れてしまうといったことや、宿泊付きの旅行に同行したという事実があれば、相手の責任割合は60%になります。さらに交際期間が数年単位の長い場合であれば、責任割合は五分五分の領域に近づいていきます。

5:5のケース

不倫に至った経緯がどういったことであれ、不倫相手に感情移入が進んでくると、責任割合は半々になります。

たとえば不倫相手に離婚求めるといったことや不倫相手の配偶者に嫌がらせの電話をするといった行為に及び始めると、不倫の責任は50%ずつです。

おわりに

不倫が発覚して、相手方の配偶者から慰謝料の請求があれば、誰しも冷静な判断ができなくなります。でも、ここで大事なことは、不倫の責任は、けっして自分一人で負うべきものではないということです。

適正な慰謝料はいくらなのか、不倫相手の責任割合はどれくらいあるのかといったことを判断したうえで、示談を進める必要があります。特に自分ひとりに慰謝料を請求されているケースでは、要求された金額が求償権を含んだうえでのものなのか、まったく考慮されていないのかで大きく変わってきます。

慰謝料の支払い請求を受けて悩んだ節は、一人で悩まずに、弁護士に相談をして、解決の道を探っていきましょう。

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タグ : 不倫
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