不貞行為(不倫)による慰謝料請求を無視するとどうなる?そのリスクと解決法

公開日:2020.04.21  不倫の慰謝料

慰謝料請求を無視するとどうなる?

 この記事のポイント
  • 不貞行為による慰謝料請求を無視しても、デメリットしかない
  • 不貞行為による慰謝料請求があった場合、減額要因がないかを精査する
  • 不貞行為による慰謝料は、交渉次第で分割で払うことも可能だが、公正証書を作成するのが一般的なため、滞納すると財産が差し押さえられることがある

突然、不貞行為による慰謝料請求が届いたら、誰しも動揺をしてしまいます。だからといって、慰謝料請求を無視したら、その先どのような結果が待ち受けているのでしょうか。この記事では、不貞行為による慰謝料請求を無視した場合のリスクと、解決方法について解説をします。慰謝料請求に対して、どのように対処すればいいのか、考えていきましょう。

不貞行為による慰謝料請求を無視するとどうなる?

不貞行為による慰謝料請求が、内容証明郵便で届いたときに、これをまったく無視すると、その後どのような展開が待ち受けているのか解説をしていきましょう。

裁判になる可能性が高い

慰謝料請求が内容証明郵便で届いた場合、被害者が法律の専門家に相談していることが推定できます。慰謝料請求には、「〇年〇月〇日までに慰謝料を支払うこと」と記されており、さらには、期日までに支払いがない場合は、訴訟を提起する旨の文面が添えられているのが一般的です。

実際、慰謝料請求の期日までに、正式な回答どころか問い合わせすらなければ、被害者としては、次に打つ手は訴訟を起こすしかありません。このため、慰謝料請求を無視すると、裁判になる可能性が高いのです。

被害者が暴走することもある

被害者が独自で慰謝料請求をしている場合は、無視をされたことで、さらに感情的になり、行動をエスカレートしてしまうことがあります。

たとえば、加害者の職場や自宅に突然訪ねてくることがあります。ここでも、おざなりな対応をすると、故意に大声で状況を訴えて、職場の関係者や近所の人に、不倫の事実を知らしめることがあります。最近ではSNSを利用した嫌がらせ行為に及ばれるケースも多く、個人名や不倫の事実を不特定多数の第三者に知らされてしまう危険もあるのです。

無視をするのが最悪の対応

このように、不貞行為による慰謝料請求を無視しても、デメリットしかなく、メリットはまったくありません。これは不倫の事実の有無にかかわらず同じです。

まして不倫の事実があるのであれば、無視をすることで、反省の意思表示がなく悪質性が高いとして、裁判でも裁判官に不利な印象を与える事情になることが予測できます。万が一裁判に至った場合を考え、正当な解決を図ろうとするのであれば、慰謝料の請求を受けた場合には誠実かつ適切に対応するべきです。

不倫の慰謝料を支払わなくてもいい条件とは?

不倫の慰謝料請求があったからといって、必ずしも支払い義務が生じるわけではありません。そもそも不倫の事実がない場合は当然ですが、不倫の事実があったとしても慰謝料を支払わなくてもいいケースがあります。どのような条件であれば、慰謝料を支払わなくてもいいのかみていきましょう。

不倫相手が既婚者であることを知らなかった

不倫相手が独身を装って近づいてきて、一般的な恋愛関係にあると信じていた場合は、慰謝料を支払う義務はありません

ただし、相手が左手に指輪をしていたとか、職場の同僚であるといった、容易に既婚者である事実を知り得る状況であり、それに気づけなかった、または注意・確認を怠った場合には、過失が認められ、支払いを免れることはできない可能性があります。

不倫相手の婚姻関係が既に破綻していた

慰謝料請求は、不倫によって家庭の平穏を乱した場合に支払いの義務が生じます。しかし、すでに相手の夫婦が離婚を前提とした別居をしていたり、離婚に向けての話し合いをしたりといった状況で、婚姻関係が明らかに破綻していたのであれば、支払いの義務はありません

時効が成立していた

過去の不倫関係に対する慰謝料は、時効が成立していれば支払う必要がありません。不倫の時効は、被害者が不倫の事実と加害者を知ってから3年です。

たとえば、3年以上前に被害者から不倫を咎められていて、その件で慰謝料を請求されたのであれば、時効が成立しています。

あるいは、被害者が知らなかった不倫も、不倫の事実から20年が経過していれば時効が成立します。

証拠が存在しない

慰謝料請求の根拠が配偶者の直感や単にメールのやり取りだけで、他に不倫の事実を裏付ける証拠がない場合は、裁判で支払義務が認められない可能性があります

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慰謝料を支払えない時の対処法

慰謝料請求があまりに高額で、被害者が要求する期日までに支払える目途がないとしたら、処置に苦しむことになります。この場合、どのように対処をすればいいのか解説をしていきましょう。

減額の要因がないかを精査する

慰謝料の相場は、相手が離婚した場合は、100万円~300万円、離婚しない場合は50万円~100万円とされています。被害者は、ときに感情的に法外な慰謝料を請求してくることがありますから、請求額が相場と大きく乖離していないかを確認しましょう。

また、不倫相手が上司であったり、取引先の役員であったりした場合は、不倫の誘いを断ることが困難であることから、減額の要因になります。その他、不倫が短期間で終了している、あるいは当初は既婚者だと知らなかったといった状況であれば同様に減額の要因になります。

こうした減額の要因がある場合は、万が一裁判になったとしても、慰謝料が減額される可能性があるため、加害者との協議の中で減額を申し出れば、受け入れられることがあります。

実情を訴える

パートやアルバイトで生活をしているという事情があり、親族にも頼れないような状況であれば、実情を説明して減額を申し出るという方法があります。

その場合、加害者側に話し合いに応じてもらえるかの確認をします。応じてもらえるようであれば、協議を重ねる中で減額の要望を出します。

請求額が相場の範囲であれば、裁判になった場合もほぼ同額で決まる可能性があります。このため、極力協議の中で減額してもらう方向で進めた方がいいでしょう。

ただし、自己都合だけの要望を主張すれば加害者が感情的になり、協議が難航するリスクがあります。減額交渉は誠意をもってあたることが重要です。

自己破産を検討する

慰謝料を支払う資金がない、あるいは他の借金もあり、これ以上の支払が現実に不可能であるような状況であれば、自己破産を視野に入れて協議に臨む必要があります。

もし自己破産をする場合、一般的に不倫の慰謝料は免責対象となりえるため、慰謝料の支払いを逃れられる可能性もあります。

慰謝料の分割交渉の方法

慰謝料の支払いは、一括払いが原則ですが、資金的な事情で一括払いが困難な場合は、分割払いが認められることがあります。分割払いを前提に協議を進める場合、どのような方法で進めればいいのか解説をしましょう。

分割払いは相手がなかなか納得してくれない

慰謝料の一括払いが困難な場合、分割払いを要望することができます。しかし、被害者側の立場からすれば、いつまでもだらだらと関係を継続したくないといったことや最後まで支払う保証がないという不安から、なかなか簡単に分割払いに応じてもらえるものではありません。

こうした理由から、分割交渉に対して、慰謝料の請求額を下げてでも一括払いを求める被害者もいます。この場合、引き下げられた請求額で交渉をまとめるというのもひとつの選択肢です。

公正証書を作成する

被害者が慰謝料の滞納を危惧している場合は、公正証書を作成するという方法が有効です。公正証書の中で滞納の際の強制執行の事項を盛り込めば、被害者の不安も解消されます。

また公正証書を作成する場合は、利益損失約款が盛り込まれるのが一般的であるため、万が一支払いが滞った場合は、未払金額の分割払いは認められなくなり、一括で支払う義務が発生することになります。

財産が差し押さえられることもあるので、分割払いで公正証書を作成した場合は、最後まで滞納することなく支払いを続けなくてはいけません。

おわりに

不貞行為による慰謝料請求は、無視をするのが最悪の選択になります。無視をすることで得られるメリットはないもないからです。

被害者が証拠を揃えたうえで慰謝料請求をしてきたのであれば、感情的に対応するのではなく、誠実な態度で臨みましょう。誠実に適切な対応することで、慰謝料の減額や分割払いなど、双方納得のできる緩和条件に導ける可能性は十分にあります。

ただし、被害者が慰謝料の請求をする場合には、周到に準備をして臨まれることが多く、そこに何の計画性もなく無謀に対応してしまうと、本来目指すことのできる結果も失い、損害を大きくしかねません。不倫による慰謝料請求があった際は、ぜひ法律の専門家に相談をしたうえで対応をしてください。法律の専門家は、さまざまな対策を講じるノウハウを持ち合わせていますから、きっとあなたの大きな力になってくれます。

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タグ : 不倫
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