中絶で慰謝料を請求されてしまった際の相場について
中絶で慰謝料を請求されてしまった際の相場について
彼女を妊娠させてしまった、これだけでもうろたえてしまう人はいるかもしれません。また、二人の話し合いの中で中絶せざるを得なかった場合なども複雑な気持ちになるでしょう。その流れで慰謝料を請求されてしまったら、男性はどのように対処すべきでしょうか。中絶の慰謝料に相場があるか、請求された慰謝料が高額だと感じた場合の減額交渉ができるのかについて紹介します。
もくじ
妊娠の中絶で慰謝料の請求はできる?
妊娠中絶手術は女性が望んだことであっても、女性の心や体に苦痛を与えます。また自費診療となるため、金銭的負担も大きくなります。
中絶による苦痛に対して慰謝料の請求ができるのかを考えていきましょう。
通常、妊娠や中絶は「双方の合意」によるもの
まず、妊娠に至るまでの一般的な経緯を考えましょう。性交渉がなければ、妊娠の成立には至りません。恋人や夫婦間の一般的な性交渉(セックス)の場合、交際相手との性交渉はお互いの合意によって行われます。したがって妊娠をしたことも「お互いの合意の上でのこと」と考えることができます。
妊娠発覚後に交際相手の男性から中絶を要求され、それに応える形で中絶手術を受けた場合や、話し合いの上で妊娠の継続が難しいという答えに達した場合においても、中絶はお互いの合意の上で行ったといえます。
妊娠も中絶もお互いの合意があったうえでのことであれば、女性が精神的にも身体的にも苦痛を伴う中絶手術を受けたことに対する慰謝料の請求を行うことは難しいといえます。
妊娠中絶で慰謝料の請求ができると考えられるケース
双方の合意があれば難しいとされる慰謝料の請求ですが、女性が妊娠中絶手術を受けたことで慰謝料の請求ができるケースはあるのでしょうか?
ここでは、妊娠中絶をした女性が相手の男性に慰謝料の請求ができると考えられる例を紹介します。
男性が女性への配慮義務を怠った場合
性交渉が合意の上だったとしても妊娠発覚後に交際相手の男性が話し合いに応じず、女性の一存で中絶せざるを得なかったという場合は、過去の判例から慰謝料が請求できる可能性があります。
また、女性側は慰謝料のほかに中絶手術のための診察・手術費用の負担も含めて請求できる可能性があります。
デートDV、レイプによる妊娠中絶の場合
このほか、デートDVでセックスを強要された結果妊娠に至ったケースや、レイプによる妊娠に関しても慰謝料が請求できる可能性があります。
男性に避妊をしてもらえなかった場合や、女性が合意しない性交渉だった場合のほか、避妊の失敗などの理由で婦人科に行けば「緊急避妊薬(アフターピル)」の処方を受けることができます。性交後72時間以内に緊急避妊薬を服用すれば、高い確率で妊娠の成立を防ぐことができます。
男性側としては、デートDVやレイプの結果であると主張するにも関わらず、緊急避妊薬を使用せず妊娠を成立させたことを疑問視することもできるでしょう。女性からレイプなどを理由に慰謝料を請求された場合、「緊急避妊薬」処方の有無なども話し合いが必要になる可能性があります。
中絶を強要された、脅迫されたケース
女性の妊娠継続の意思とは別に、中絶を強要するべく嫌がらせをした、暴力や脅迫によって中絶を余儀なくされたというケースがあります。
この場合、中絶手術に至るまで女性が受けた暴力などは「不法行為」とみなすことができ、男性側に慰謝料が請求される可能性があります。
妊娠中絶による慰謝料の相場
妊娠中絶による慰謝料の相場は、中絶に至るまでの背景によっても異なります。一概に相場を提示することは難しいのですが、婚約をしていない男女間の場合、100万円以下の慰謝料で示談や和解に至る可能性があるようです。
過去の裁判では男性が女性への配慮義務を怠ったケースなどで医療費等を含め高額に上る慰謝料支払いの判例もあるため、調停や裁判へ発展させる前に男性は真摯な対応で解決に向けた行動をとる必要があるでしょう。
ただし、慰謝料のほかに負担すべき医療費や休業補償などの費用も含まれる場合があります。
慰謝料を減額する方法について
慰謝料を請求できる可能性があるケースに当てはめた結果、慰謝料請求に踏み切ったといえる部分もあるため、減額できるか否かに関しては交渉次第によるでしょう。
慰謝料が減額に関して、男性が妊娠発覚から中絶手術に至るまでの間、女性に対し誠実に対応したかなどが関わってきます。中絶に至るまでにきちんと話し合ったか、男性側に中絶を進めなければいけない理由があったかという事柄も重視されます。
また、手術費用を負担したか、手術に付き添うなど女性のケアに努めたかなども重要な要素になるでしょう。
また、男性主導の避妊具をつけて性交渉に及んだかに関しても言及されることが予想されます。避妊の失敗で妊娠の成立に至った可能性なども視野に入れておくと、交渉の余地が開ける可能性が生まれます。
慰謝料を請求された場合、書類等を無視し続けると調停・裁判へ移行する可能性があります。
慰謝料を請求された場合の対応や減額方法については、一人で悩まず法律の専門家である弁護士に早めの相談をすることをおすすめします。
おわりに
交際中の男女において「中絶」問題は双方にとって大きな心労をもたらす問題です。本来合意がある上での結果であることから、慰謝料の支払い義務はないと考えられるものではありますが、どちらの希望であれ、中絶をする側である女性は肉体的にも精神的にも大きな負担を抱えることになります。
その点を理解し、誠実な対応を心がけることによって、慰謝料問題への発展は食い止められる可能性は大きくなります。妊娠の報告を受け、驚き不安を感じることは当然ですが、お相手の気持ちを配慮した誠実な行動を心がけましょう。
この記事に関するご質問や中絶問題に関するお悩みがある場合には、ぜひ当事務所の無料相談窓口にご相談ください。

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