不倫の無実を証明!誤解で慰謝料請求を受けた場合の対処法

公開日:2020.04.24  不倫の慰謝料

不倫をしてないことを証明するにはどうすればいい?誤解で慰謝料請求を受けた場合の対処法

  この記事のポイント
  • 不倫=慰謝料発生ではない
  • 不貞行為(又はそれを疑わせる行為)を証明する責任があるのは配偶者側
  • 不貞行為(又はそれを疑わせる行為)を裏付ける証拠は様々

不倫をしたとして直ちに慰謝料請求に応じる必要があるのでしょうか?確かに、不倫された側の立場に立てば慰謝料を請求したい気持ちはわかります。しかし、だからといって不倫した側に慰謝料の支払いに応じなければならない法的義務が発生するかはまた別の問題です。以下では、不倫したとあらぬ疑いをかけられた場合の対処法などについて解説します。

慰謝料請求に応じる前に・・・

慰謝料請求されて相談に来る方の中には、不倫が発覚すれば慰謝料請求に応じなければならないと誤解している方もおられます。しかし、不倫をしたからといって直ちに慰謝料支払い義務が発生するわけではありません。相手方から慰謝料請求された場合は、まず次のことを考えてみるとよいと思ます。

不貞行為をしましたか?

いわゆる不倫で、慰謝料の支払い義務が生じるのは、基本的には不貞行為を行ったと認められる場合です。ここで不貞行為とは、配偶者との婚姻関係が継続しているにもかかわらず、あなたの自由な意思に基づき不倫相手と肉体関係を持つことをいいます。したがって、あなたが不倫相手と性交したという場合は明らかに不貞行為に当たるでしょう。また、性交以外でも性交に近い行為(手交、口淫などの性交類似行為のほか一緒にお風呂に入る、ベッドで寝るなど)もやはりこの不貞行為にあたる可能性があります。

不貞行為を疑われる行為をしていませんか?

また、不貞行為にはあたらなくても不貞行為をしたと「疑われる行為」をした場合には慰謝料を支払う義務が生じる可能性があります。そもそも不貞行為を行い慰謝料を支払う義務が生じる理由は、配偶者の「平和な婚姻関係を築き、維持したい」という権利を侵害するからです。したがって、不貞行為をしたと「疑われる行為」とは、つまりは配偶者の「平和な婚姻関係を築き、維持したい」という権利を侵害する行為と言い換えることもできます。以下では、典型事例をご紹介します。

独身の異性と二人きりで一夜を過ごした

一般に、ラブホテルは性交をする場といえます。そして、ラブホテルに入りラブホテルから数時間出てこなかったということは、不貞行為(性交)をしたのではないかと疑われてしまう可能性があります。また、場所がホテルではなかったとしても、独身の異性の自宅や単身赴任中など自分の家族がいない状況で自宅に異性を招き入れ、一夜を過ごした場合にも不貞行為(性交)をしたのではないかと疑われてしまう可能性があります。

手をつなぐ、会う、食事する、メールを交換するなど

こうした行為は不倫相手と親密な関係があることを物語るものといえますが、だからといって、上記2つと異なり、不貞行為を疑わせるものかといえばそうではありません。しかし、こうした行為を繰り返し積み重ねることは、やはり不貞行為を疑わせる行為、つまり「配偶者の「平和な婚姻関係を築き、維持したい」という権利を侵害する行為に当たる可能性があります。以下の裁判例は、手をつなぐ、会うという行為以外の行為も総合的に勘案し、配偶者の平和な婚姻関係を築き、維持したい権利を侵害したとして慰謝料の支払いが認められた事例です。

  • 不倫相手と手をつなぐ以外の行為も勘案した事例(東京地裁平成17年11月15日)

この裁判では、不倫当事者であるXとYが手をつないでいたという事実以外にも、XとYが狭い部屋に数日間にわたり同宿していたこと、戸外では体を密着させながら手をつないで歩いていた事実などを勘案し、これらの行為はA(Xの妻)の婚姻生活を破壊するものと認定しました(慰謝料の支払いを認めました)。

  • 不倫相手と会う以外の行為も勘案した事例(東京地裁平成25年4月19日)

この裁判では、会う(面会)したという事実のみで不貞行為があったと推認することはできないとしました。しかし、面会以外にも、不倫の当事者同士(X、不倫相手をYとする)がかつて不貞関係にあったこと、XがA(Xの妻)に対して80万円の慰謝料を支払うことを約する公正証書を作成していたことに鑑みると、XがYとが再び深夜に面会することは、再び不貞行為を再開したのではないかと疑念を抱かせるに足りる事情であり、Aの平和な婚姻生活を破綻に至らせる蓋然性の高い行為だとして慰謝料の支払いを認めています。

毅然とした態度で主張する

まず、配偶者から慰謝料を請求すると言われても、不貞行為あるいは不貞行為を疑わせる行為を行っていない(不貞行為がない)のであれば、相手方の請求に応じる必要はありません。そもそも事実が「ない」ことを証明することは不可能です。たとえば、あなたが全くの見ず知らずの人に「私はガラケー愛用者で、スマートフォンを所有したことはありません。」と言ったとします。そして、相手から「では、スマートフォンを所有したことが「ない」ことを証明してください。」と言われて証明できるでしょうか?証明できるはずがありません。

また、慰謝料請求の場面においては、請求する側が不貞行為が「あった」ことを証明する責任があります。責任があるということは仮に証明できなければ、不貞行為はなかったものと扱われるということを意味しています。

ですから、相手方から慰謝料請求された場合には、まず慰謝料の支払い義務が生じるのは不貞行為したこと、あるいはそれを疑わせる事情があることが前提であること、こうした事情は相手方に証明責任があることをまず心得ておくとよいと思います。そして、不貞行為をしていないのであれば毅然とした態度で「不貞行為はしていない」と主張しましょう

不貞行為を証明する証拠

では、慰謝料請求をする相手方は交渉あるいは裁判でどんな証拠を呈示してくるのか気になるところかと思います。

この点、通常、不貞行為は他人の目の届かない密室で行うと思いますから、相手方が不貞行為の存在を直接証明するための証拠を獲得するということは基本的には想像し難いことではあります。もっとも、「隠しカメラ」の映像などから直接証明される危険もないとはいえません(なお、違法な手段で隠しカメラなどを設置したと認められる場合は「証拠として使えない(違法収集証拠)」と主張できる場合もあります)。

他方で、不貞行為を疑わせる事情(事実、間接事実)に関する証拠については容易に獲得されてしまう危険があります。主に以下の証拠が考えられます。

写真

  • 不倫相手とラブホテルに出入りする際の写真
  • 不倫相手と泊付きの旅行をしたことがわかる写真
  • 自宅、ホテル(ラブホテル以外)、旅館などで不倫相手と一夜を共にしたことがわかる写真など

いずれも正確な撮影日時が記録されている、不倫当事者の顔がはっきりわかるものだと証拠価値が高くなります。

LINEメールなど

  • 昨日のセックスは最高だったよ

などという不貞行為を高く疑わせる内容のほか

  • 昨日は楽しかったよ、一緒に過ごせて幸せだった、愛してる
  • また早く会いたい、キスしたい

などという一見、不貞行為とは無関係と思われる内容でも他の証拠の補助的な証拠にはなり得ます。

録音音声、録画映像

  • 不倫の当事者が不貞行為を認める会話
  • 不倫相手とラブホテルに出入りする際の動画

いずれも写真と同様、正確な撮影日時が記録されているものだと証拠価値が高くなります。録音音声については会話内容などから誰の声であるのか分かることが必要です。録画映像についても、記録された顔などから不倫当事者と特定できるものでなければ証拠価値として高くないでしょう。

おわりに

相手から慰謝料請求された際の対処法などについて解説してきました。相手から慰謝料を請求されるということは、相手もそれなりの根拠(証拠)をつかんでいる可能性もあります。相手から証拠をつかんでいることを言われた場合には、はやめに弁護士に相談することをお勧めいたします。

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タグ : 不倫
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