慰謝料請求の書面が内容証明郵便で届いた。無視するとどうなる?リスクと適切な対応について
公開日:2019.11.14 不倫の慰謝料
この記事のポイント
✔︎慰謝料請求の書面を無視を続ければ裁判を起こされる可能性が高くなる
✔︎お互いの認識に違いがある場合には反論することが必要
いろいろな形で異性と関わりをもつことがあります。時には関係が深まり不倫関係に陥ることもあるかもしれません。でもある日、慰謝料請求の書面が内容証明郵便で自宅に届いたら、どうなるでしょうか。突然のことに動揺するばかりで、どう対応していいのか冷静に判断ができなくなることもあるのではないでしょうか。
この記事では、不倫の慰謝料請求が内容証明郵便で届いた場合の適切な対応方法について解説をしていきます。
不倫の慰謝料請求は対応を疎かにすると、すべてを裁判に委ねることになってしまいます。スムーズな解決を図るためにも適切な対応策を確認していきましょう。
もくじ
内容証明郵便とは
内容証明郵便は、日本郵便が扱うサービスのひとつですが、どのような特徴があるのかみていきましょう。
内容証明郵便で何が証明されるのか
一般の郵便物では、書簡の内容は差出人と受取人の当事者同士でしか伺い知ることはできません。これでは差出人がどんなに切実な内容の書簡を送ったとしても、受取人が「知らない」といえば、その事実は闇の中に葬り去られることになります。
内容証明郵便は、送付する文書の謄本を日本郵便が保管しておき、必要に応じて「文書の内容、送付日、送付元、送付先」を証明してくれます。信頼の高い機関による証明であることから、裁判の証拠として用いられることもあります。
慰謝料請求の書面は、どのような内容のものが送られてくるのか
不倫に対する慰謝料請求は、「通知書」と表題が付けられた書面が、慰謝料を請求する権利を有する人の名義で送付されてきます。内容は、一般的に次の事項で構成されています。
- 不貞行為の事実を把握している旨の説明
- 精神的苦痛を被ったことに対する賠償責任があることの教示
- 慰謝料金額の提示
- 支払期日
- 支払方法
- 支払いがない場合は、法的措置も辞さない旨の通告
慰謝料請求の文面は、請求人本人の他に委任を受けた弁護士から送付されてくることもありますが、書面の内容に大きな差異はありません。
慰謝料請求を受けた後の流れ
不倫に対する慰謝料請求の通知は、何の前触れもなく郵送されてきます。日頃見慣れない内容証明郵便であったり、弁護士の名前が書いてあったりすると、大きく動揺をしてしまい冷静な判断を欠いてしまうことがあります。
もし不倫に対する慰謝料請求の通知書が届いたら、その後どのような流れで進むことになるのかを押さえておきましょう。
反論の余地がないかを検証する
慰謝料請求の書面を無視したり放置したりすることは、大変大きなリスクを抱えることになるので、必ず何らかのリアクションをしなければいけません。
しかも相手方の事実認識の捉え方が現実と大きく異なっていれば、しっかりと反論をする必要があります。たとえば次のようなケースであれば、反論を基本スタンスとして進めていきます。
- 指摘されている不倫相手を知らない……不倫調査の過程で相手を誤認していることがあります。
- 不貞行為がない……現に肉体関係が一切ない場合は、賠償責任が発生していないというスタンスで臨みます。
- 不倫相手が既婚者だと知らなかった……相手から独身だと告げられていた場合は、賠償責任はありません。
- 不倫相手の婚姻関係が破綻している……相手方が別居状態が長く続いている場合であれば、反論の余地はあります。
- 過去の不倫の話であり、相手方がその事実を知ってから3年以上経過している……慰謝料請求は、被害者がその損害や加害者を知った日から3年が経過していれば時効になります。
不倫の事実がある場合の流れ
不倫の事実があり相手方に対して根本的な反論ができない場合、あるいは反論を相手方が納得しない場合には、次のような流れで進められていくことになります。
- 示談交渉……慰謝料請求が高額過ぎて応じられない場合には、減額や分割払いなどの交渉を行います。反対にまったく請求に正当性が無い場合は、反論をします。
- 示談不成立……相手方と歩み寄ることができなかった場合は、示談不成立になります。
- 裁判……示談不成立だと、裁判を起こされる可能性が高くなります。
- 判決あるいは和解……裁判に入ると最後まで争いを続けるか、和解案に同意をして和解をする道を選択することになります。
内容証明を無視すると裁判を起こされる可能性が高い
慰謝料請求の内容証明が送られてきた際に、相手の要求に100%応じられないときには、まずは示談交渉によって、妥協点を探ることになります。
しかし内容証明を放置したままで、一切無視の態度を貫いたとしたらどうなるでしょうか。その場合に想定できる状況を探っていきましょう。
内容証明自体には法的効力はない
内容証明は、その内容の文書を送付したという事実を証明するものであり、文書内容の真偽を証明するものではありません。また内容証明という堅い形式の文書ですが、法的には一個人から書簡にすぎないので、法的に従う義務は一切ありません。
近いうちに裁判を起こされる可能性が高い
しかし一般の人が内容証明郵便を用いるということは、相手方が相当の決意をもって臨んでいる証左に他なりません。既に弁護士に相談していることも十分に考えられます。支払期限まで一切無視を続けた場合、裁判を起こされる可能性が相当高いことを覚悟する必要があります。
慰謝料請求の書面が届いたらどうすれば良い?
慰謝料請求の書面が届いた場合、無視を続ければ裁判を起こされる可能性が非常に高くなります。裁判開始後の労力や経済的負担を考えた場合、反論の有無にかかわらず、早い段階で相手方と接触をすることは、けっして無意味ではありません。
相手方の慰謝料請求の書面が、本人の作成によるものであれば、相手方に直接連絡をして交渉を進めることになります。また行政書士が文書を作成している場合であっても、連絡先は相手方になります。こうしたケースでは、相手方はまだ裁判を視野に入れていない可能性がありますが、無視をしたり全面反論をしたりすると裁判を起こされる可能性が高くなります。
相手方が弁護士を代理人としている場合は、既に裁判を視野に入れて臨んでいる可能性があります。また莫大な請求額を求められ、交渉が暗礁に乗り上げることが確実な場合も裁判を起こされる可能性が高いと考えるべきでしょう。
いずれのケースも素早い対応こそが、スムーズな解決への道につながることになります。慰謝料請求の書面が届いたら、できるかぎり早い段階で法律の専門家である弁護士に相談をして、適切な対応をしましょう。
おわりに
不倫に係る慰謝料請求の書面が届いたら、まずは的確に状況を理解することが大切です。相手の言い分に利があるのか、あるいは理不尽な要求であるのかを見極めたうえで次の行動を起こしましょう。
最悪の選択は、相手方の請求に対して無視を決め込むことです。その場合は、いくらこちらに利があっても、不利な状況に追い込まれてしまうことになります。
不倫に起因する慰謝料請求では、冷静に解決方法を見極めて、的確な対応をすることが求められます。もし対応策に不安があるのであれば、すみやかに弁護士に相談をすることをおすすめします。
この記事に関するご質問や不倫に係る慰謝料請求でお悩みがある場合は、ぜひ当事務所の無料相談窓口にご相談ください。
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