離婚後に不倫が発覚して慰謝料請求を受けた。慰謝料相場や対処法を解説

公開日:2020.04.02  不倫の慰謝料 , その他

この記事のポイント

✔︎離婚後に不倫が発覚したとしても基本的には慰謝料の支払いが必要になる

✔︎不倫の慰謝料は一般的に50万円から300万円と言われるが状況次第で異なるため、まずは自分の状況を把握することが重要

✔︎不倫が事実だとしても行っていたタイミングによっては慰謝料の支払いがゼロになるケースもある


「過ぎたことなのに今更…」と感じてこの記事をご覧になっている方も多いことでしょう。不倫をしていたが、婚姻期間中には発覚せず、離婚した後に発覚して慰謝料請求を受けてしまったというケースは多くあります。離婚後に不倫が発覚して慰謝料請求をされる場合は、その状況によって慰謝料が大きく減額、もしくは慰謝料の支払いなしが妥当というケースも存在しますので、ご自身の状況にあった慰謝料の相場や対処法を把握していきましょう。

離婚後に不倫が発覚しても慰謝料の支払いは必要になる

不倫が離婚後に発覚した場合、「離婚後に発覚したから、離婚と不倫とは無関係だろう。別の理由で離婚しているのだから慰謝料の支払いは必要ないのでは?」と考えることができそうではあります。しかしながら、不倫が離婚後に発覚したというケースでも、相手方から慰謝料の請求があれば基本的には慰謝料の支払い義務が生じます。発覚したタイミングが離婚後であったとしても、婚姻中の不倫が実際にあれば、貞操義務に反し、離婚に少なからず影響を与えていると考えられるためです。

不倫が発覚していない状態で離婚したのに慰謝料を請求される理由

先述した件で、離婚が決まった段階で不倫の事実が発覚していない場合でも離婚したことに影響を与えている、とはどういったことなのでしょうか?例えば、夫婦間の不和やセックスレスが原因で離婚することになった場合を挙げるとわかりやすいかと思います。このような状況では「もしも不倫が無ければ婚姻を継続していくことができたかもしれない」と捉えられ、不倫が離婚の一因になったして慰謝料の請求が認められる傾向にあります。当然、不倫のみが原因ではないにせよ、婚姻期間中に不倫があったとなると、離婚後に発覚したからといって無条件に慰謝料の支払いをしなくてもいいということにはならないと知っておきましょう。

不倫の慰謝料の相場で金額の開きが大きいのは何故?

まず、離婚後に発覚した場合の不倫の慰謝料に関わらず、不倫の慰謝料の相場は50万円から300万円だと言われますが、金額の開きが大きく「自分の状況では結局いくらが妥当なのか?」と疑問に感じてらっしゃる方も多いと思います。不倫には様々な状況が存在し、多くの要素によって妥当な金額が決まります。この妥当な金額の決定は裁判での判決に限ったものではなく、裁判外でも双方の意見の主張や回答によって交渉を通じ決定していくというケースが多くあります。

どのような状況で慰謝料の金額が変わってくるのかについて、以下にまとめます。

不倫の慰謝料の金額が高額になる状況の一例

・不貞行為の期間が長い(数年間に及んでいるなど)

不貞行為に及んでいる期間が長い程、慰謝料を請求している相手方に与えた精神的苦痛が大きいと判断されやすくなります。

・婚姻期間が長い、もしくは極端に短い

婚姻期間が長く、特に離婚に至った場合は不倫により与えた損害が大きいと考えられます。また、婚姻期間が短い場合でも、新婚の夫婦の婚姻関係を壊した、婚姻期間中に不倫期間が占める割合が大きいとして慰謝料が増額されることがあります。

・不倫が原因で離婚に至っている

不倫によって離婚に至ったという場合には損害の度合いが大きいと判断されます。

・不倫相手を妊娠させてしまった

不倫相手を妊娠させてしまった状況は、その配偶者に与える精神的な苦痛の度合いが高いと判断される可能性があります。

・不倫相手と同棲関係にあった

不倫相手と同棲関係にあるなど、不倫の悪質性が高いと判断されることがあります。

・慰謝料を請求する側に悪質な行為をしていた

例えば、不倫相手の妻に対して、早く離婚するよう手紙を送るなど、嫌がらせ的な行為をしていた場合は不倫に関連して悪質性が高いと判断される可能性があります。

・不倫発覚後も不倫を継続した、不倫による慰謝料請求があっても無視した

不倫を行ったにもかかわらず悪質な行為を続けた、不反省な態度をとったとして慰謝料が増額されることがあります。

不倫の慰謝料の金額が少額になる状況の一例

・不貞行為の期間が短い、もしくは一回のみ

不貞行為の期間が1ヶ月などと短かったり、一回のみの不倫であった場合、精神的な苦痛の度合いが少ないと判断されることがあります。但し、不倫が主な原因で離婚に至っている場合には期間や回数は重要視されないケースもあります。

・慰謝料を請求している相手方にも過去に不貞行為があった

自分は不倫をしたが、過去に相手方にも不貞行為があった場合は慰謝料が減額される傾向にあります。

・不倫があったが離婚には至っていない

不倫があったが、結局離婚には至らなかったという場合は慰謝料が減額される傾向にあります。但し、慰謝料の支払いが必要なくなるというわけではありません。

・離婚に至ったが不倫以外にも原因があった

不倫があったが、不倫以外にもDV、親族との不和などの理由があり、離婚の一因となっている場合は不倫の影響度が少ないと判断されやすくなります。

離婚後に不倫が発覚した場合はどのように考えられるか?

離婚後に不倫が発覚した場合であっても、先述の通り、不倫がなければ離婚に至らなかった、不倫が一因となり離婚に至った、という状況であれば慰謝料は当然発生することになります。

但し、離婚後に不倫が発覚したケースでは、不倫以外のこと(DVや親族との不和など)が原因で離婚した、という状況が多く、実際問題として不倫が離婚に与えた影響は高くないと考えられることが多々あります。明確に離婚の原因を定義することは難しいとしても、不倫以外もしくは不倫に関連するセックスレスや夫婦間の不和以外にも離婚の原因となったものが無いかは考えておくべきでしょう。

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不倫が事実でも慰謝料が認められない状況とは?

不倫が離婚後に発覚したものであっても、基本的には慰謝料の支払いが必要であることは先述の通りですが、例外もあり、慰謝料の支払いが必要ないとされるケースもあります。

どのような際に慰謝料の支払いが必要ないと判断されることがあるか、代表的な例を挙げて解説してきます。

不倫をした側だが、逆に慰謝料を請求できる事情がある場合

これは不倫そのものの状況というより、不倫以外の状況が影響して慰謝料の相殺となる場合です。例えば、不倫はしてしまったが、相手方からDVを受けた、暴力を振るわれた、などが例として挙げられます。その場合、不倫による慰謝料とDVや暴力による慰謝料をそれぞれ考えていくことになりますが、場合によっては不倫の慰謝料を上回って、逆に自分から慰謝料を請求することができるケースもあります。いずれにせよ、不倫以外の点で自分が何か損害を被ったりしていないかを考え、場合によっては法律の専門家である弁護士に判断を仰ぐことが重要です。

不倫をした時期が事実上の夫婦関係破綻後である場合

離婚後に不倫が発覚した場合によくあるケースとして「不倫はあったが、その時には既に夫婦間は破綻していた」ということがあります。例えば、夫婦間の不和を原因として別居していた、相手方から離婚調停の申立があった、というように、事実上夫婦間が破綻していた状態でそれ以降に不倫関係が開始した場合、不倫が離婚に影響を与えたとは言えず、不倫の慰謝料は支払う必要が無いということになります。

夫婦関係の破綻とはどの時点を指すか?

夫婦間が事実上破綻した時点を明確に定義付けることは難しいですが、別居の開始、相手方からの調停の申立は一つの基準としてみなされる傾向にあります。但し、どちらの場合も、自分から別居したり調停の申立をしていて、相手は復縁を望んでいた、という状況では夫婦関係が破綻しているとは言えない点に注意しましょう。また、別居開始前や開始直後、調停の申立前、申立直後に不倫が開始している場合、離婚と無関係とされない可能性がある点、不倫の開始時期が証明できない場合は夫婦関係破綻前の不倫だと主張される可能性がある点にも注意が必要です。

離婚協議書を交わしている場合

夫婦で同居し、調停が申し立てられていない状態でも、離婚時期が遠くない時期で記載された離婚協議書を取り交わしている状態であれば夫婦間が事実上破綻しているとみなされることが多くありますので覚えておきましょう(離婚時期が遠かったり離婚協議書内に記載されていないと、まだ夫婦関係は継続していたと主張される可能性があるため注意しましょう)。

なお、離婚協議書の中で、協議書に記載してある以外で互いに金銭等を求めないという条項(清算条項)が記載されていた場合には、より慰謝料の支払い義務はないと考えられます。

時効が成立している場合

これは離婚後に不倫が発覚した場合に限らない点ですが、時効が成立している場合は不貞行為があったとしても慰謝料の支払いの必要がなくなります。まず、不貞行為が終了した時点から20年が経過している場合は時効が成立します(除斥期間を経過している、と言います)。そして、不倫が発覚してから3年が経過している場合も時効が成立します(消滅時効が成立している、と言います)。除斥期間は発覚しているか否かに関わらず、20年が経過すれば条件を満たすのに対し、消滅時効は「発覚してから」3年が経過することが条件です。即ち、離婚後5年が経過してから婚姻期間中の不倫が発覚し、すぐに慰謝料を請求された、という状況は時効が成立しているとは言えません。また、厳密には不倫の発覚と併せて請求しようとする相手方の名前や住所などを知り得てから3年と言われています。消滅時効の開始点は判断が非常に難しいとされるため、3年よりも前の不倫について慰謝料を請求された、という場合には一度時効が成立していないか、弁護士に意見を聞くことが望ましいかと思います。

おわりに

離婚後に不倫が発覚し慰謝料を請求されたという状況は、婚姻期間中に不倫が発覚し慰謝料を請求されたという状況と異なり、場合によっては慰謝料の減額に繋がったり、慰謝料の支払いが必要無くなることがあります。この記事ではそういった状況毎にとり得る対策や、不倫の慰謝料の相場について解説しました。既に終わったことだと思っていたら慰謝料を請求された、という状況では誰もが困惑するところですが、慌てて対応すること無く、経緯や状況を元に適切な対応をすることを意識しましょう。

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タグ : 不倫
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