風俗やデリヘルを利用することは不倫?風俗通いが原因で離婚や慰謝料請求されたら

公開日:2020.03.28  不倫の慰謝料 , その他

この記事のポイント

✔︎風俗に通っただけでは不倫(不貞行為)に当たらない

✔︎風俗に通っただけでは法律上の離婚事由に当たらない


男性全員が風俗店に行っている、というわけではありませんが、一定数の男性(一部には女性向けの風俗店もあるようではありますが。)が風俗やデリヘルに行っている事実があることもまた事実です。そうであるからこそ、様々な業態の風俗店が存在し、その店舗数も多い(業界として成立している)ということになるでしょう。

配偶者がいる男性の場合、女の子からの名刺や通話履歴、LINE履歴等で風俗店の利用がばれると「浮気だ!」「離婚する!」「慰謝料請求する!」といった様々なトラブルに発展することは実は少なくありません。キャバクラなどよりも風俗店の方が、身体的な接触があることも明らかなので、配偶者の女性側の気持ちもその分強くなることは想像に難くないでしょう。

この記事では、どういった場合に、風俗店を利用した場合に離婚が成立したり、慰謝料を支払うことになるのか、について感情論とは別に解説していきます。

風俗やデリヘル通いは不倫(不貞行為)に該当する?

別の記事でもご紹介しましたが、基本的には不倫(不貞行為)が民法709条の不法行為となり、慰謝料請求が認められるか否かは肉体関係(性行為)の有無がまずはポイントになります。

風俗に通っただけでは不倫(不貞行為)に当たらない

一般論として、日本の風俗店では法律上、口淫といった性行為類似の行為(多くの女性はこの時点で嫌悪感を抱くと思いますが)は行われるとしても、性行為そのものは認められていません(ソープランドは事実上認められている、ということになりそうではありますが。)。

そのため、風俗通いがダイレクトに不貞行為に該当する、という判断は中々なされない傾向にあります。(少なくとも風俗店に1回通ったことを理由とする離婚を認めた判例は存在しません。)。

その上で、そのシチュエーションが問題になる可能性はあります。例えば、上司に連れられて・・・という場合と自ら積極的に・・・という場合では明らかにその態様が異なることはお分かりいただけるのではないでしょうか。すなわち自らが積極的に風俗店に足しげく通い、かつ、法律上は許されていないような性行為を行ったり、特定の女性を指名して何度も通っているような場合については、不貞と認定される可能性は出てくる、ということになるでしょう。

もっとも、最終的には配偶者の女性側が掴んでいる証拠や男性側がどこまでを認めているか、また男性側が実際に風俗店にどの程度の回数、どの程度の頻度で通っていたか、等ケースバイケースで判断することになりますので、この記事内で一義的にここからがアウト、ここまではセーフというメルクマールをお示しすることは難しいことはご理解ください。

風俗やデリヘル通いを理由に離婚は認められるのか?

まず、大前提として、離婚は配偶者の合意があればいかなる理由であったとしても認められます(協議離婚)。そのため、夫の風俗通いに激怒した妻が夫に離婚を詰め寄り、離婚を迫ったような場合でも、夫が合意さえすれば風俗通いを理由とした離婚も認められます。

風俗に通っただけでは法律上の離婚事由に当たらない

しかし、風俗店に通ったからといって、必ずしも不倫(不貞行為)には該当しないことから、それだけで法律上の離婚事由(民法770条)が存在するか、というと上記したようにそもそも日本では法律上、風俗店での性交渉は認められていないことから、必ずしも不貞行為と認定されるわけではない、ということになります。また、上記したように風俗店について肉体関係があったとしても1回限りの時に、法律上の離婚事由である「不貞行為」があったと認定している判例は存在しません。

合意できなくても、最終的には訴訟で離婚することが可能な裁判離婚に行きつくためには上記したように、態様も問題となり、特に回数については複数回男性が風俗店に通った(+性行為をした)ということの立証を配偶者側が行う必要がある、ということになります(裁判離婚)。この点について、配偶者側に準備が必要なことはキャバクラ通いの場合と同様です。

仮に、不貞行為の証拠までを用意できなかったような場合、次に考えられるのはどの程度の金額を夫がつぎ込んでいるか、どの程度の頻度で風俗店に通っているか、通っている風俗店の種類はどのようなものか(ソープランドなのか、デリヘルなのか、それ以外の風俗業種なのか)ということになります。すなわち、家に生活費も入れないのに、風俗店にお金をつぎ込んでいるようであれば、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当する場合もあるでしょうし、特定の女の子との性交渉あるいはその類似行為を行っていれば「不貞な行為」(同上1項1号)、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(同条1項5号)、に該当する可能性もある、ということになります。しかし、これらは完全にケースバイケースであり、不貞行為の様に一義的に判断できるものではありません。

風俗やデリヘルのスタッフにも慰謝料を請求することはできる?

スタッフに対する慰謝料請求をしたい、と考える人も少なくないでしょう。

まず、キャバクラ嬢への請求の場合と同様に、大前提として、相手の住所・(源氏名ではない)氏名を把握することが必要です。どこの誰に対して慰謝料を請求するのかを把握する必要があります。

携帯の電話番号や店に対して照会をかけることになるのではないかと思いますが、この照会は誰でもできるわけではなく、弁護士に依頼した上で弁護士会を通じた照会手続をとる必要があります。さらに、携帯電話のキャリアや、店の判断によってはそれでも個人情報なので教えてもらえない可能性もあります。

これらの情報が把握できたうえで、慰謝料請求ができるか否かについてですが、これは風俗店に勤務する風俗嬢やスタッフがそれを生業としていることから正当業務行為と評価される可能性が高く、せっかく情報を把握できても請求が認められない可能性がそれなりに高い、ということは留意しておく必要があります。

おわりに

上記したようにそもそも不貞と認められるか、慰謝料の請求が立つか、といったことはあくまでケースバイケースです。諸般の事情をしっかりと弁護士にヒアリングしてもらった上で、判例等も交えながら適切なアドバイスをもらう必要性は高いと言えるのではないでしょうか。

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タグ : 不倫
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